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鮮魚コーナーのバイトから『君の名は。』スタジオの監督へ。異色の映像作家が掴んだ大抜擢の裏側

名門アニメスタジオが見出した新時代の映像作家

20260618_2990 (c) Kazuko Wakayama

映画『しらぬひ』で原作・脚本・監督・作画監督を担当した片野坂亮 (c) Kazuko WAKAYAMA

『君の名は。』(16)、『すずめの戸締まり』(22)などを手掛けてきたアニメーションスタジオ「コミックス・ウェーブ・フィルム」(以下CWF)が手掛ける短篇アニメーション映画『しらぬひ』が、8月21日から公開される。  物語は、1996年の晩夏。静かな海辺の町で暮らす孤独な少年・湊(みなと)と、少女の姿をした神さま・”べんちゃん”、そして湊の父親マサルとの関係を軸に、家族に対する愛憎の反転、純真無垢な祈りが呪いへと変わりゆくさまを切実に描き出す作品で、新人映像作家が原作・脚本・監督・作画監督を手掛けた。  独学かつ独りで作り上げた自主アニメーション作品で業界関係者を驚かせた片野坂亮監督が抜擢されており、初の商業アニメーション映画に挑戦することに。大学卒業後にスーパーの鮮魚コーナー等でアルバイトをしながら、フリーランスの映像作家として活動するという異色の経歴を持つ人物に話を伺った。

フリーランスで活動しながらもアルバイトで生計を立てる生活

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8月21日から公開された新作短編アニメーション映画『しらぬひ』

ーーもともとアニメ映画監督を目指していたのでしょうか? 職歴としては、大学を卒業してからずっとフリーランスの映像作家として活動しながら、飲食業、スーパーの鮮魚コーナー、披露宴の映像スタッフなどのアルバイトで生計を立てていました。企業などには就職せず、実写の映画監督を目指してただひたすらフリーランスとして活動していました。地方で活動していたので、東京より潤沢に案件がなかったり、仕事のスタンスによって仕事が無くなったりもするので大変でしたが、人との繋がりを大切にしながら仕事をやり続けていました。 ーー新海誠監督も所属するアニメーションスタジオに見出された際の心境を教えて下さい。 未だに実感が湧かないです。この夢はいつか覚めるんじゃないか、という怖さもあります。目が覚めて「これは全部夢でした」と言われても、不思議ではないくらい、自分にとっては出来すぎた話なんです。これまで、ただ地道に目の前の仕事を続けてきました。それが今、こうして監督として作品を届けるところまで来て、急に自分を取り巻く状況が変わっていくことに、まだ気持ちが追いついていないところがあります。もちろん、ありがたいことだと思っています。でも、喜びよりも先に感じるのは、ようやくスタート位置に立ったんだ、ということです。ここまで来たことよりも、ここから何を作っていけるのか。今はただ、そのことにきちんと向き合っていかなければと思っています。 ーー目指されていた映画監督を務めたことについて、家族や友人の反応はどうでしたか? 喜んでいただけています。僕がやり続けていたことを知っていますし、皆さん自分事のように良かったねとか、早く映画館で『しらぬひ』を観たいと言ってくれています。“友達が作った作品が、全国の映画館で上映されるなんて、なかなかない経験だからありがとう”と言われたこともありました。
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