月収17万円でも「東京で暮らしていたときより、はるかに幸せ」元銀座のバーテンダーが山梨の限界集落で掴んだ“豊かな暮らし”
物価高・賃金低迷の時代、コスパでもタイパでもなく「ウェルビーイングパフォーマンス」という新たな価値観が浮上している。“ウェルパ”の実践者たちから、お金に縛られない幸せの条件を探った。
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現代のヒッピー村がある――。そんな噂を耳にして記者が訪れたのは山梨県大月市。新宿から中央線特急で1時間ほどとは思えない山深いこの場所に、突如ピラミッド状の建物が現れた。
「ここは『大月ピラミッドセンター』といい、約40年前に地元の人が造った大規模イベントスペースです。スピリチュアルな人々には昔から聖地として有名な場所でした」
そう説明してくれたのはカズさん(30代)。生まれも育ちも東京で銀座の老舗バーでバーテンダーを務めていたシティボーイながら、現在は山梨県上野原市西原地区で青年隊隊長を務める。
「僕は一時期、日本中のジャズ喫茶を回りたくて、原付きに寝袋とテントを積んで日本一周の旅をしていたんです。そしたら途中からジャズよりも日本の風土そのものに惹かれてきちゃって、2年前にここにたどり着いた。東京と比べたら何もない田舎に見えるかもしれないけど、一本山道を入るだけで個性豊かな集落が点在しているんです。
その地元の人の飾らない暮らしと人柄は、東京で育った自分にとって何よりも魅力的に見えた。人と競うようにお金を稼いで、見えを張るように洒落たバーに繰り出す……そんな東京人よりも、ここ西原の人はたくましくて格好いいと思った」
カズさんは現在、地元の森林組合の正職員として月17万円ほどの収入を得ている。東京時代よりも収入は大幅に減ったが、不満はないという。
「最寄りのコンビニまで車で25分という環境に移住すると『本当に必要なものって何だろう』と常に考えることになる。大抵のものは自分で作るか近所からもらえば済んじゃうので、お金もモノも少ないけど、不足するものを人の繫がりで埋めるんです。当たり前のように支え合って暮らしていて、それが心地いいんです」
物欲にまみれ、ドーパミン溢れる都会暮らしと対照的な田舎暮らしを満喫するカズさん。実は、西原には同じように都会から移り住む若者が増えており、一部で「ヒッピー的」だと呼ばれている。
「西原の若い移住者7〜8人と『青鶴隊』という青年会を立ち上げました。ヨガの先生・芸術家・農家など多種多様な移住者が、西原の自然に惹かれて集まってきたんです。この地区は人口が400人ほどで、60歳で若手扱いされる超高齢化・過疎地域だから、青鶴隊は『地域の人に喜んでもらいたい』をモットーに活動しています。コロナ以降止まっていた神社のお神輿担ぎを『担ぎ手10人用意します』と申し出て復活させたり、高齢者への送迎を手配してビールを飲みながら地域の古い写真や映像を観覧する会を開いたりしてきました」
スピリチュアルな人々の聖地
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山梨県上野原市西原地区で青年隊隊長を務めるカズさん
収入は大幅に減ったが不満はない
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