「こんなの子供が乗れない」と販売を断られたことも…400万人の子供に愛される“幼児用二輪車”が日本に浸透したワケ
近年、子どもたちの間で人気のある乗り物がランニングバイクだ。ペダルがなく、足で蹴って進むのが特徴であり、子どもは遊び感覚でバランス感覚や体の使い方を自然に身につけることができる。こうしたなか、ランニングバイクの中でも特に知名度が高いのが、世界25か国、400万人以上の子どもたちに愛されている「ストライダー(STRIDER)」だ。
「まさかまだ2歳の子どもが、二輪車に乗れるとは思っていなかった」
そう語る岡島さんは、初めてストライダーをアメリカ現地から購入した時の感動が今でも忘れられないという。
「当時、私の長男が2歳だった時に『これで二輪車に乗れる』という触れ込みのストライダーをアメリカから個人輸入して購入しました。初めは本当に半信半疑だったものの。1週間くらいで長男が両足を離し、バランスを取りながら二輪車に乗れるようになったんです。それまでは、三輪車にもろくに乗れない状態だったのに、ストライダーは簡単に乗りこなせるようになったのは、すごく衝撃的だったのを覚えています」
なぜ、すぐに自転車に乗れるようになったのだろうか。「補助輪付き三輪車に乗せるから、自転車に乗れるまで時間がかかる」とし、次のように説明する。
「三輪車(補助輪付きの自転車も含む)と二輪車では、曲がる動作に対しての操作特性が全く正反対になっています。方向転換する際、前者では左に行こうと思ったら、ハンドルを左に切ればいいのですが、二輪車の場合はハンドルを左に切ったら、実は車体が右に曲がっていくんですよ。つまり、ハンドルを切った方向と逆に車体が傾いていくわけです。子どもの感覚としては、今まで乗り慣れていた三輪車のように、左に曲がろうとハンドルを左に切ると逆方向に曲がっていくので、バランスを崩して転げてしまうんです」
ストライダーのような補助輪のない二輪車の特性に慣れておけば、いざ自転車に移行しようと思ったときも、“ペダルで進むか、足で進むか”の違いだけなので、そこまで苦労せずに乗りこなせるようになるという。岡島さんの経営する会社では、アメリカン・コミックス(アメコミ)のキャラクターフィギュアの企画・販売を手がけており、「ストライダーの日本総代理店をやってみたら面白いのでは」という思いから、2009年にストライダージャパンを立ち上げたそうだ。
最初はネット販売からスタートしたものの、知名度のないストライダーはなかなか購買に結び付かなったという。また、日本で販路を拡大していくためには、実店舗での取り扱いも重要になるため、自転車ショップへのアプローチも試みた。だが、「こんなの子どもが乗れない」という第一印象で断れるケースが多かった。
転機になったのは、ムラサキスポーツでストライダーの取り扱いが決まった時だった。
「ムラサキスポーツさんで働くスタッフの中に、偶然にもストライダーをネットで買われた方がいまして。その方は、私と同じように『2歳児が二輪車に乗れるのはすごい!』という感想を持たれていました。それがきっかけで話が進み、まずはムラサキスポーツさんの数店舗でテスト販売してみたところ、購入者の方からの評判がすごく良くて、全店舗の導入につながったんです」
日本では、2009年よりストライダージャパンが販売を開始。今では1300店舗以上の正規販売店を構えるほか、全国各地でレース大会や試乗会などのイベントも盛んに行われている。
アメリカ発のストライダーをどのように日本へ浸透させ、ファンを作ってきたのか。ストライダージャパンを運営する株式会社Ampus代表取締役の岡島和嗣さんに話を聞いた。
「まだ2歳の子どもが二輪車に乗れるなんて」
転機になった“ムラサキスポーツ”での販売
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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