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【世界陸上選考】川内優輝は勝ち方を知っている

 8月にモスクワで開催される世界陸上への選考の熱い戦いがすでに始まっている。

 今週末の2月3日(日)、選考レースのひとつ、「第62回別府大分毎日マラソン」が開催され、公務員ランナー川内優輝選手が出場し、日本代表を目指す。

 国民の期待を背負う日本代表は誰になるのか? そして世界でメダルを獲る実力はあるのだろうか?

 自身も別府大分マラソンで優勝、エドモントン世界陸上ではマラソン9位となり、先の箱根駅伝の順位予想では1~3位をピタリと当てた(http://nikkan-spa.jp/361713)タレントの西田隆維さんに聞いてみた。

――別府には川内選手と中本健太郎(ロンドン五輪6位)選手などが出場しますが、優勝は誰だと思いますか?

川内優輝

1月18日のエジプト国際マラソン優勝からわずか半月。驚異的なペースで出場を続ける川内優輝選手(写真はマラソン公式HPより http://www.betsudai.com/list/japanese.html)

「川内選手と中本選手が有力でしょう。2人ともスピード型じゃなく、似た感じの走りをするランナーですね。心身共にキツくなってからも極端にペースダウンすることのないマラソン向きの我慢強い性格を持っています。なので、立て直し方が上手く、最低限のところでゴールできる。これはマラソンランナーには大事な要素ですね」

――川内選手と中本選手、ズバリ、どちらが有利ですか?

「レース展開にもよりますが、川内選手ですかね。最近は国内外の様々な大会に出場し、数々の優勝を飾っています。つまりレースでの“勝ち方”を知っているんです。別府はここ数年の展開をみてもスローペースが予想されるので、そうなったら川内選手の得意な展開に持っていけるのではないでしょうか。最近、川内選手とは『谷川真理ハーフマラソン』で一緒になったのですが、気持ちの面での”硬さ”がなくなっていました。柔軟性が出てきて、自己コントロールが出来ている感じがしましたね」

――2月24日に開催される、もう一つの注目選考レース「東京マラソン」には、ロンドンオリンピック代表の藤原新選手(ミキハウス)をはじめ、元祖“山の神”今井正人選手(トヨタ自動車九州)、1万メートル日本のエース佐藤悠基選手(日清食品)とビックネームが揃っており、日本トップ争いが激しくなることが予想されます。

「経験と実力などから判断すると藤原選手は強いと思いますが、今井選手は経験豊富な上に安定感もあり、元旦のニューイヤー駅伝でもエース区間4区で区間新記録を樹立するなどかなり調子が上がっていて期待できると思います。一番読めない、いや面白い存在なのが佐藤選手ですね。ニューイヤー駅伝では本来の力を発揮する事できませんでしたが、ここ最近は良い練習を積めているとの話しも聞きます。未知数ですが、佐藤選手のスピードは魅力ですね。確実に言えることは、海外招待選手に2時間4分台の自己ベストを持つランナーが4人もいるので、別府(大分マラソン)よりは速いゴール記録になるということです。この世界のトップランナーと日本選手がどのくらい戦えるかに注目ですね!」

――最近の世界陸上ではメダルから遠のいていますが、モスクワ大会で日本人はメダルを獲得できますか?

「ハッキリ言うと現状ではかなり厳しいと思います。世界の壁は高いですね。実は、今まで日本が取り組んできたトレーニングはケニアなどでも実施されています。ただ、世界陸上に限定すると、モスクワは気温が低いと考えられるので、日本人にはプラスに働くのではないでしょうか」

――世界を知る西田さんから見て、メダルを獲るため、世界と戦うためには何が必要ですか?

「“自分流”を貫くことです。今は走った距離の長さや、練習をこなすことに捉われたり、監督やコーチに依存しがちで、“自分を知る”選手が少なくなってきていると思います。実業団というチームに所属している以上チーム練習の流れに沿い、トレーニングに励む選手がほとんどですが、世界と戦うためには言われた事をただやるのではなく、しっかりと現状の体を知る事が必要になります。“自分流”というのは、いままでの常識に捉われずに、自分の体を知り、自分で調整できる能力が必要ということです」

――日本人選手で“自分流”といえば……

「川内選手や藤原選手がズバリですね。川内選手が実践している、試合をこなしながら強化と調整をしていく方法も、今までは考えられないやり方でした。でも彼の体には、自分で考え、実践したことが経験として蓄積されています。だから“勝ち方”を知っているし、強いんだと思います。強いケニア人やエチオピア人の選手達がどんな環境で、どんなトレーニングをして、どんなモチベーションで競技に取り組んでいるかを現地で感じてみるのも、極端かもしれませんが“自分流”。こういった選手が出てくれば、マラソン界に光が見えてきますね」

――西田さんはS&B時代、瀬古監督からの指導を受けていますが、もし川内選手がDeNAに入ることになったら強くなると思いますか?

「自分はS&B時代、瀬古監督に自由に練習の組み立てをさせてもらいました。もしそのようにやれるとしたら川内選手は強くなる可能性はあります。ただ、それだと今の環境と大して変わりません。逆に企業の枠に入れられ、縛られるとストレスになってしまうことも十分に考えられますね」

 そんな”自分流”をとことん貫く川内選手が出場する「別府大分毎日マラソン」は3日正午スタート。果たして世界陸上への切符を掴み取ることができるか?

【西田隆維氏】
’77年生まれ。タレント「西田ランニングくらぶ」代表/劇団Winday’s主催。’01年エドモントン世界陸上選手権に日本代表として出場。マラソン9位。駒澤大学時代は4年間連続で箱根駅伝に出場。4年時の第76回は復路のエース区間9区にて当時の区間新記録を樹立。その後ヱスビー食品、JALグランドサービスで選手を続け、現在はタレントとして舞台、映画、モデルなどで活躍。イベント主催、DVDプロデュース業など活動の場を広げている。独身。 http://ameblo.jp/takabon1/

<取材・文/NANO編集部>
海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。




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