「パチンコ違法釘問題」は警察の素人対応が発端だった!?

 昨年、パチンコ業界に激震が走った。ホールに置かれているパチンコ台は違法状態にあるとされた違法釘問題だ。この違法釘問題は、一般の新聞などでも報道され、パチンコ業界関係のみならず普段はあまりパチンコをしない人にも衝撃を与えた。

パチンコが本当になくなる日

違法釘問題だけではなく、パチンコ・パチスロの規制などについて追求した一冊。警察庁からの内部通達文書や関係者のメモ書きなど、表にはなかなか出ないパチンコ業界の裏側がギッシリ詰まった一冊である

 この降って湧いたように起きた違法釘問題は一体誰が、いつ、どこで問題提議したのか……パチンコ業界関係者だけではなくファンも注目するこの問題に鋭く斬り込んだ『パチンコが本当になくなる日』がこのたび、弊社より発売された。著者は業界のご意見番とも言われるパチンコジャーナリスト、POKKA吉田氏だ。

 そんなPOKKA吉田氏に違法釘問題から今後の見通しまで、本書では語ることのできなかったことを聞いた。

「2015年1月23日、パチンコを所管する警察庁生活安全局保安課の小柳課長が、パチンコホールの業界団体である全日遊連の理事会で、『(クギを調整して)一般入賞口に入らなくして、中央始動口にばかり寄せて、より偶然の(=ギャンブル性の高い)遊びをしていることが懸念される、けしからん』と行政講和の中で指摘したんです。これが違法釘問題の発端です。

ところが、6月に入ると、警察庁の目先がメーカー側に向くんです。パチンコ関連業者が広く集まる業界団体である日遊協の総会で、保安課の大門課長補佐が、『検定時と違う状態で出荷しているのなら、検定規則11条2項のペナルティ(5年間の検定申請不可)だ』と発言しました。あそこから風向きがメーカー責任に傾いた。

実際のところは、メーカーは検定と違う状態で納品しているでしょうし、ホールはクギを叩いています。しかし、検定を受けたときのスペックとホールに設置されている台のスペックが現に違うのは誰の仕業かというと、特定できないでしょう。ですから、本来ならメーカーとホール双方に対して、メンテナンスを逸脱した釘調整は許さないし、検定と違う状態の納品は許さないと同時に責任を問う指導をすべきだったんです」

 POKKA吉田氏は責任を問う発言の順番、相手がまずかったと指摘する。

 だが、パチンコのホールが釘を叩いていることは一般の人でも知っていることである。このタイミングで唐突に釘問題を取り上げた警察には、何か思惑があるように感じられるのだが……。

「カジノの議論が頓挫している中、ギャンブルであるのは間違いないが刑法が禁止する罪としての賭博ではないパチンコという遊技の法的な位置づけをクリアにしようとする際、出玉を操作するクギ調整は極めてグレーな部分です。そこをきっちりやるべきだと保安課は考えたのでしょう。でも、そのやり方はあまりにも稚拙。今回の警察庁のやり方はまるで素人ですよ」

 所管官庁である警察庁のこうした仕事ぶりについて、POKKA吉田氏は「まるで素人だ」と斬って捨てる。あまりにも稚拙だというのだ。

「警察庁保安課、大門課長補佐は日遊協に対して6月の『ペナルティ』発言の前に、『日遊協総会での行政講話の真意は翌日に直接説明する』と、おかしなことを言っていました。果たしてその発言の翌日午前中、大門課長補佐は日遊協を訪ねて来るのですが、そこでの話を一言で言うと、『昨日の話はガチだぞ』と伝えに来たんです。それ要らないでしょ。じゃあ他の話はガチじゃないわけ?となるでしょう。言いに来ないでいいことをわざわざ言いに来るあたり、素人所管の極みですよ」

 結局、警察庁の心中を忖度しつつパチンコ業界団体が必死に知恵を絞った結果、事態は芸術的な落とし所に着地した。

「保安課の中では、フォルクスワーゲンではなくてペヤング回収のようなスタンス。つまり、フォルクスワーゲンのディーゼル車とは違い、パチンコメーカーは意図的な不正をしていないと保安課はみなす。一方、パチンコメーカーとしては、全部というわけではないけれどもペヤングの焼きそばのように“一部の製品に問題があるかもしれない”ので回収するというシナリオです。違法釘問題については、“シナリオとしては結論が出ている”と言ってもいいでしょう。今は撤去条件について話し合われているところです。」

 パチンコメーカーは、検定時と違う状態の台については、何らかの補償条件をホールに示す方針だという。

 こうした釘問題とは別にパチンコ業界が抱える問題がある。いわゆるマックス機規制と言われる、高射幸性の台の撤去問題である。今度はファンにとっても重要な問題だ。「牙狼」や「慶次」など人気台がいつ打てなくなるのかは大きな問題である。

「マックス機では初当たり確率が399分の1ですが、2015年11月からは320分1以上の機種しか新台では導入できなくなりました。中古機流通なら可能ですが。また、今年5月からは継続率が65%以上の機種も禁止となります。こうした出玉を抑える新規制の一方、パチンコメーカーの業界団体である日工組は、中央始動口(通称へそ 液晶下のスタート口)に玉が入った場合に出てくる最低賞球数を現行の主流である3個から4個に引き上げる予定。中央始動口の両脇に設置されている一般入賞口にも玉が入りやすい状態で新台が納品されます」

パチンコ 今まではともすれば1時間で1万8000円が溶けてしまうこともありえたのに、今後はマイルドな出玉で長時間の遊技を楽しめるというわけだ。しかし、POKKA吉田氏によれば、これではパチンコホールの経営が難しいという。

「出玉率がパチンコホールの利益の根源です。320分の1という甘い確率にし、一般入賞口や中央始動口からの賞球も増えるとなると、どこかで帳尻を合わせないといけませんが、継続率65%の新内規だけでは吸収できないでしょう」

 と、なるとここでも釘の問題が絡んでくるわけである。

「釘を叩かない店が生き残れないというのは事実。保安課が素人すぎて、ホールに対して叩くなと言わないのだからしょうがないです。というか叩いていない前提で話をしているのが現状です。ただ、昨年11月に保安課は、『メーカーの問題が片付いたら次はホール』という発言もしていますし、違法釘問題はまた別の落とし所に向かう可能性もゼロではないです。なにしろ“去年は素人所管”でしたから」

 いくらクギを刺しても足りなさそうなパチンコ業界。まだまだひと波乱がありそうだ。

 POKKA吉田氏の著書では、違法釘問題だけではなく、パチスロのART機規制や“アイス問題”の裏側まで鋭く斬り込んでいる。警察、ホール、メーカーそれぞれの思惑が交錯した2015年のパチンコ業界。関係者だけではなく、一般のファンが知りたくても知ることができなかった真実が生々しく描かれている必読の一冊である。

【POKKA吉田(ぽっかよしだ)】
’71年大阪府生まれ。ぱちんこ業界紙、遊技機メーカー系シンクタンクを経て、’04年にフリー。ぱちんこ専門のジャーナリスト。会員サイト運営、連載、講演、テレビ出演など多数。蔓延するぱちんこ業界関連情報のウソを全否定し真実を説く。著書に『パチンコ オカルト信者につけるクスリ』扶桑社、『石原慎太郎はなぜパチンコ業界を嫌うのか』『パチンコがなくなる日』(主婦の友新書)、『パチンコ業界タブーな人々』(宝島SUGOI文庫)など。

取材・文/SPA!パチンコ釘問題取材班

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