前代未聞の“編集アイドル”を仕掛けた敏腕社長
アイドルが割拠する今、「アイドルになりたい」という女のコの夢のハードルは下がり、同時に「アイドルを育ててみたい」という本懐を遂げるチャンスも増えている。本特集では、素人ながらアイドルのプロデュース業を始めた人々の紆余曲折と喜びを紹介。膨張し続けるアイドル業界。これを読めばキミもアイドルプロデューサーになれる!?
◆前代未聞の“編集”アイドルを仕掛けた敏腕社長
<FINDS×H.KIDOH氏(広告代理店社長)>
今年5月に結成された4人組アイドルユニット、FINDSのプロデューサーを務めるH.KIDOH氏は広告代理店社長。アイドルとは近い業界ではあるが、同社が扱っていたのはカラオケやパチンコ店などのアミューズメント施設、飲食店などの広告で、これまで接点はなし。が、たまたま仕事で某スポーツ紙のアイドルプロジェクトに関わり、KIDOH氏に自社メディアを活用させる“編集アイドル”というアイデアが浮かぶ。
「自社で『楽遊』というフリーペーパーを隔月で発行していまして、自前のアイドルがいれば媒体の顔として広報活動がしやすくなると考えたんです。CDのリリースやライブなどのアイドル活動をしつつ、アイドルがアイドルを取材して、記事も書く。そんなアイドルはほかにいませんでしたし、これはイケるだろう!と」
確かに前代未聞。が、歌って踊るならともかく、取材や記事作成はアイドルの仕事……ではない。メンバーに葛藤はなかったのか?
「自分たちより格上のアイドルに絡むことは、彼女たちにとってもプラスになるし、ライター活動については理解してくれていますよ。人件費削減で一石二鳥と思う方もいるかもしれませんが、むしろ逆。当初、メンバー4人中2人はパソコンもキーボードもまともに使えない。原稿もそのままじゃとても掲載できる状態ではなかったですからね(苦笑)」
アイドル仕事にしても、編集仕事にしても、彼女らに対するKIDOH氏からのダメ出しは日常茶飯事で、思わずメンバーが涙することも。周囲からは陰で鬼プロデューサーと呼ばれているが、メンバーにとっては、「レッスンを見ているのかと思ったら机の上でボールを転がして遊んでいたり、おちゃめ(笑)。冷たそうに見えるけど、リアクションも大きいし、かわいい」(鈴木芽瑠ちゃん)と映る。
そんなFINDSのメンバーは全員、別々の事務所に所属。全員が個々にタレント活動を行っており、なかにはソロDVDを発売する現役グラドルもいる。それだけにプロデューサーはスケジュール調整も一苦労。ユニットとしてのモチベーションの持続も大変だ。
「『CD1000枚を売り上げる』というミッションをクリアしてしまったので、今はそれに代わる新たな目標の設定が課題ですね。それと活動自体がマンネリ化するのも避けなければ……。考えだしたらキリがありません(苦笑)」
ちなみにFINDSの現在の活動は、隔週金曜日に放送されるネット生番組と月2~3本のイベントやライブ。熱狂的なファンはまだ50人ほどだが、物販では広告代理店の強みをフルに活用する。
「以前から業務のひとつとして、販促物を制作していたんです。だから、タオルやクリアファイルなどのグッズは低コストかつ短期間で制作できる強みがあります」
あくまで自身の得意分野で勝負する。これもアイドルプロデューサーとしてひとつの方法なのかも。
【FINDS情報】
12月4日には、CD売り上げ1000枚達成を記念して、イベント「FINDS CD&DVDお披露目会~ありがとう君へ~」(会場:池袋dot)が行われた。今後のライブ、その他の活動など詳細は『楽遊』ホームページで。http://www.luck-you.jp
― 素人でも[アイドルプロデューサー]になれる!【3】 ―
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