「日本人にルンバは作れなかった」ロボット先進国としての危うい現状

「ロボット先進国」として、その名を世界に馳せている日本。その最新動向について、サイエンスライターの森山和道氏に話を聞いた。

「産業用ロボットの分野では、出荷台数、稼働台数共に日本のシェアは世界一です。しかし近年は他分野と同じく、中国のコピー品が横行しています。性能は日本製品の7割程度ですが、値段が安いので、ボーッとしていると危ないでしょう。中枢部品は日本製なので、その点では有利ですが、コピーされるのは時間の問題です」

 また、産業用ロボットの分野では縮小する自動車業界に頼りすぎず、医薬品や食品などへ進出する試みが加速しているという。

「そうした新しい動きのなかで、日本は安全性の規定などをやりくりして、ギリギリトップを保っている状態です。例えるなら、高速で動くベルトコンベヤーを全力で逆走し、同じ場所に居続けているだけ。世界では『花屋での梱包』など、より小さな工場で産業用ロボットの導入が進んでいますが、そういった分野でも日本の動きは鈍い。より速く走らなければいけないのに、『前例がないから』と二の足を踏みがちな傾向があります」

 今年6月には災害対応ロボットの世界大会も行われたが、日本は10位という結果に終わった。



「福島原発事故の際も、原発用ロボットの研究開発はしていたのに、実際に配備されることなく終わってしまいました。ロボットは現物だけあっても意味がなく、ハード、ソフト、管理する人間など、いろんなものがシステムとして必要です。この大会でも、『使えるレベルまで開発をやりきる』という意識が低かったのかもしれません」

 発明には欠かせない独創性に関しても油断は禁物だ。

「顕著な例はルンバです。日本人にルンバは作れなかった。しかも日本のメーカーがコピー品のような製品を作ったものの、性能では大分劣っていました。技術者が海外に劣っているわけではないので、今後は製品化にこぎつけるまでの『運用力』が鍵になると思います」

 宝の持ち腐れにならないよう、多角的な切磋琢磨が必要なのだ。

★産業用ロボットでは世界一を誇るが足踏み状態は危険

【森山和道氏】
サイエンスライター、科学書の書評家。日経サイエンス『読書日記』『ヒトと機械の境界面』メルマガ『サイエンス・メール』等で活躍中

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