伝説の優勝投手・愛甲猛が夏の甲子園全48試合をガチンコ解説。“ネット甲子園”の魅力
99回を迎えた全国高校野球選手権大会。この夏の甲子園全48試合を解説している男をご存知だろうか? ’80年の甲子園優勝投手にして、元プロ野球選手の愛甲猛氏。タブーなき解説者として知られる「球界の野良犬」の“愛ある舌鋒”がいま、ニコニコ生放送で好評を博している。
「事務所に話が来たとき冗談で『全試合やるか?』って言ったら本当になった。ここまできたらギネスに載るまで全試合やりたいね。モットーは『結果について語るんじゃなく、結果がどうなるかを語る』ってこと。番組では『予言者』って呼ばれてるよ(笑)」
今夏は母校の横浜が甲子園出場。愛甲氏も神奈川大会に4度も応援に通ったという。
「今年は増田珠を筆頭に打線がすごくいい。でも甲子園で優勝するには投手陣が少し弱いかな。高校野球はやっぱり監督の力が大きい。流れが来るのを待つんじゃなくて、的確に動いて流れを呼べる監督こそ、全国で勝てるんだよ。その意味では大阪桐蔭の西谷浩一監督は勝てる監督。プロに来ている選手達を見ればわかるじゃない? ただ勝てばいいんじゃなくて、選手の将来を見据えた上で育てている。それは俺の恩師の渡辺元智さん、小倉清一郎さんもそうだったよ」
アウトローとして数々の武勇伝を残す愛甲氏だが、今の球児を見ていてジェネレーションギャップを感じることも多いという。
「いい流れのときは勝利に向かって全員で乗っていけるけど、悪い流れでも全員で敗戦に向かっていっちゃう。『右にならえ』の気質なんだよな。『俺はこっちに行くぞ』と流れに逆らうヤツが少ないよね。勝負事は多少ヤンチャでも勝ちにこだわるヤツが強いんだ。時代が違うけど、俺は打席でバットを向けて『こーい!』って叫んできたヤツに『いったるわ!』ってぶつけたこともある(笑)。野球でもハッタリでも負けない。そうしないと勝てなかったからね」
そんな愛甲氏に優勝予想を聞くと、「難しいなぁ」とポツリ。
「野球は“投手が8割”と言うけど、今年は好投手が少ない。大阪桐蔭、秀岳館は筆頭格だろうね」
最後に高校球界に向けて、愛のある「喝」をもらった。
「高校野球は技術的にも肉体的にも間違いなく進化している。でも審判のレベルが一向に上がらないのは問題じゃないか(笑)。でもまあ、どんなに時代が変わっても、高校野球の泥臭さはいつまでも変わらず残っていてほしいね!」
【愛甲 猛氏】
’62年、神奈川県生まれ。第60回大会ではエースとして優勝投手に。その後、ロッテ、中日で活躍。ニコ生での「野良犬野球解説」が話題に
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