マル暴デカが激白「ヤクザは“ほどほど”に力を持っていた方がいい」
こうした裏取引とも取れることまでして、警察はヤクザを巧みにコントロールしているとX氏は言う。だが、アウトローの世界では、こうした統制の取れたヤクザ組織は法律によって弱体化してしまい、半グレたちはヤクザすら食いものにする状況になってきているとX氏は指摘する。
「一例を挙げると、某暴力団が新宿のとあるビルのみかじめ料を一棟全部取っていたんだ。だが、それをめぐって半グレたちが組事務所に乗り込んできた。組事務所にいつも詰めているのは、たいてい2~3人。電話すれば、10分で組員がかけつける状態にはなっているが、一気に何十人という猛者が事務所におしよせてきてしまうと、ヤクザでも手も足もでない。結局、ヤクザが折れて、共存しましょうということになった。本気になったら、連中はヤクザ以上に平気で殺しをやるし、集まってくる人数も半端じゃない」
半グレたちは普段、様々なところで普通に働いているという。飲食店や工事現場、中には会社員も……。だが、ひとたび集合が掛かれば仕事を放り投げ、クビも辞さない覚悟で集合するとX氏はいう。上野ではドラゴンの揉め事が起きた際、ものの10分足らずで100人以上のメンバーが集結したという。
こうした「半グレ>ヤクザ」という状況を、取り締まる側の警察は苦い思いで見ているという。
「暴対法ができたきっかけは、暴力団を弱体化させ、壊滅させるのが最終目的。しかし、現実問題、暴力団がいなくなったら良い街ができるかといったら、そうではない。小学校や中学校でもイジメがあったり、不良がいたり、悪ガキがいたりする。いつの時代にも悪いヤツはいる。ヤクザが出てくる前は愚連隊がいて、これが暴力団になっていった。暴力団が壊滅したら、関東連合や外国から来たマフィアがはびこるのは目に見えている」
X氏はあくまでも個人的な意見だが……と前置きして、ヤクザの在り方をこう話す。
「ヤクザを弱体化させて壊滅することを目標には掲げているが、本音をいえば、ヤクザの力が壊滅はしないで、半グレよりも強い存在でいてほしい。政党でいえば、支持率が60~70%だと独裁制が強くなるが、30%を切るくらいになってしまうと独裁制がなくなる反面、野党が頭角を現して政権運営が厳しくなる。つまり、政権は変わらないけど、ブイブイもいわせない。これくらいが1番バランスが取れている状態。だいたい支持率40〜50%くらいかな(苦笑)」
ヤクザを潰せば半グレがのさばり、ヤクザを野放しにすれば犯罪が増える。痛し痒しな状況を警察はこれからどのように打開するのだろうか。
取材・文/SPA!ヤクザ問題取材班
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