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売り上げ10億のトップ営業マンが転職して自己破産へ…[転落する50代]の肖像

 年功序列が崩壊したといわれるが、いまだに年齢階層別平均賃金では50代がピーク。しかし、リストラ、転職失敗、介護など、一度道を踏み外せば、いとも簡単に年収300万円以下へと転落する。バブル期に入社し、「恵まれていたクセに」と同情もされない悲しい世代の横顔は、明日の我が身だ。今まで語られることのなかったそんな転落50代のリアルから、社会人後半戦の教訓を学び取る。

転落する50代の共通点

※写真はイメージです

売り上げ10億のトップ営業マンから、転職を契機に奈落の底へ

▼警備関連会社 役員・年収1000万円⇒機械販売会社 平社員・年収260万

「新規開拓が好きで、時代の先端を走っていたつもりが、まさか崖っぷちを走っていたとは……」

 そう語る高田義明さん(仮名・56歳)は、高校卒業後、地元の有力商社に入社。叩き上げの営業として年に10億円を売り上げ、評価は常にSランクだったという。

「雑務は一切やらず、接待で飲み歩いていましたね。取引先はどんどん増え、社内の女子社員とは10人以上と関係を持ちました。社員旅行では常に女子に囲まれ、経費もちょろまかし放題。確実に自分がエースだという自信に満ち溢れていました。それでも、年収は地方なので600万円程度。完全に調子に乗っていたので、そりゃあ不満ですよ。そこで父の経営する警備関連会社に転職しました」

転落する50代の共通点

【絶頂期の頃】スポーツ万能で夏はサーフィン、冬はスキーと、当時流行していたホイチョイプロダクションの映画さながらの営業マン時代

転落する50代の共通点 36歳の時に役員待遇で父親の会社へ。年収1000万円を超え、絶頂期を迎えた。ところが、そこは奈落と隣り合わせだったとか。

「イケイケすぎたのが父の逆鱗に触れたのでしょう。東京の子会社に飛ばされたのですが、そこが赤字まみれ。それでも『自分ならなんとかなる』と、銀座の鉄板焼きやクラブで豪遊していました。しかし、世の中はそんなに甘くない。最終的には不良債権をすべて押しつけられ、’07年に倒産すると同時に私も自己破産しました」

 かつての商社のエースも、転職市場の冷え込みで機械販売会社に新卒並みの待遇で拾われるのがやっと。東京の6畳一間でサザンオールスターズを聴きながら昔を思い出し、ロフトで体を丸めて眠る日々は10年を数える。母親と妻、そしてニート気味の息子が暮らす北国へ月10万円の仕送りをし、手元に残るお金はほとんどない。

「今思えば、営業時代にトップだったのは実力ではなく『運』だったんです。そういう時代でした。それを実力と勘違いして、転職して運まで捨ててしまった。地元商社に勤め続けていれば、今はもっと穏やかな暮らしをしていたはず。それは無理でも、せめて貯金をしていれば……。でも、おいしい思いもしてきたので仕方ないです」

転落する50代の共通点

【50代の現在】先日の台風でアパートは床上浸水の被害に。「地元に戻っても仕事はありませんから、ここで耐え忍ぶしかありません」(高田さん)

 達観したように呟く高田さんだが、大柄なはずのその背中は、とても小さく見えた。

取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/Masayo モデル/松本りんす(だーりんず)
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