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アナグマでラーメンをつくった男が語る「野生の食材を受け入れることの大変さ」

スッポンの生き血で生死をさまよう

「食べられるものがあるだけありがたい」と語る彼だが、口にするためには「確定的な事実が必要」だという。要するに安全性である。スッポンを食べて食中毒になった“痛い過去”を語ってくれた。
「スッポンを食べて食中毒になったのは生き血が原因でした。症状は食事が終わって1、2時間後に蕁麻疹が現れたんです。そのときは多摩川の河川敷で野宿していたので、何かしらの虫に刺されたんだろうって思ってたんですが……。でも帰宅するとそれがどんどん広がって、最終的には発熱。幸いにも2日寝込んだら治りましたが、あれは無謀だったと思います。料亭とかでスッポンの生き血を飲んだりするじゃないですか。でも、あのときの自分は『生き血は飲める』ってことを知っていたけど、安全面などの知識は皆無。血は飲めるという、ただそれだけの知識のみで飲んじゃったんですよ。つまり私はこのとき、安全に生き血を飲むにはどうしたらいいのかという確定的な事実が出来上がっていないのに、口に含んでしまったということです。最近、イワナの生食をする方がいますが、あれだって安全面の確定的な事実は出来上がっていません。むしろ寄生虫などのリスクがあることから、避けるべきというのが確定的な事実だと私は思います」  山の中で生き抜くためには、失敗は許されない。1つの失敗が生死を分けることは珍しくはないのだ。たまたまこの亀の生き血事件の際は自宅で療養することができたが、これがもし、山の中であったら生死に関わっていたかもしれないのである。  これから秋の行楽シーズンが本格的に到来して、山に出かける人も多いだろう。キノコ、山菜、魚や獣など山は自然の恵みで溢れている。だが、その恵みをおいしく、そして安全に受け入れるためには、素人考えは厳禁。常に注意を払って少しでも危険と思ったら手を出さないことが、生き抜くためには必要なのである。
カメ五郎

小屋建てする素材などできる限り現地で調達するスタイルは、男の憧れ……かもしれない

【カメ五郎】 サバイバリスト。最小限の装備で山に入り、現地で調達したもので小屋を建て、罠を仕掛けるなどして狩猟をするいわゆるブッシュクラフトを実践する。その模様を撮影したyoutubeチャンネル『【カメ五郎】ネイチャー・ポケット』は10万人を超える登録者数を誇る。また、アウトドア雑誌『Fielder』においてもコラムを好評連載中。 構成/森田光貴、長谷川大祐(SPA!本誌) 写真提供/Fielder
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