“3試合無安打なし”の快挙
ソトの凄さはまだある。“タコ”といわれる無安打試合が続かないことだ。ソトの今年のメジャー全116試合でも2試合ヒット無しはわずか10度だけ(5/23~25、5/31~6/1、6/30~7/1、8/1~2、8/8~9、8/11~12、8/15~16、9/3~4、9/17~18、9/22~23)。この安定した成績が全米記者協会のライター陣に評価され、シーズン終了時に投票された今年の最優秀新人賞のファイナリストに名を連ねた。ちなみに大谷翔平は見事アメリカン・リーグの新人王を受賞した。
実力も然ることながら、ソトは“上司”にも恵まれた。所属するナショナルズGMは、若手の抜擢に定評あるマイク・リゾ。先述の2001年以降の10代野手メジャーリーガー10選手のうちソトを含む3選手はリゾGMが抜擢したものだ。「野球の実力に年齢は関係ない」を提唱し続ける敏腕GMに見初められた20歳のソトを東京ドームで直撃した。
――東京ドームの天井に打球を当てたのは、大谷翔平以来です。
ソト:え? そうなの? それは知らなかったよ(笑)
――アンダースロー(侍ジャパン高橋)には三振を喫しました。
ソト:これまでもサブマリンは何人か対戦したことがあったけど、彼は今までとは違うサブマリンだったね。特にシンカーが抜群だった。何とか打球を前に飛ばそうとしたんだけど、上手くいかなかったね。
――いよいよ新人王の発表ですね。
ソト:大谷にはまだ会ったことがないけど、彼は(新人王に)値する素晴らしい選手だよ。僕は……どうだろうね(笑)
東京ドームでの3連戦は侍ジャパンが2勝1敗で勝ち越した。今年の日米野球は残すところ広島、名古屋であと3試合。大谷と並んで新人王に輝いたアクーニャJr.、そして規格外の20歳ソト。そして今日は広島でドジャースの前田健太が凱旋先発。残り3試合も見所は尽きない。
【参考:ソトと大谷の今季成績比較】
ファン・ソト 2018年(20歳)
116試合(114試合でレフト)
414打数/121安打/25二塁打/22本塁打/打点70/盗塁5/三振99/打率.292/出塁率.406/長打率.517/OPS.923
大谷翔平 2018年(24歳)
114試合(投手10試合を含む)
326打数/93安打/21二塁打/22本塁打/打点61/盗塁10/三振101/打率285/出塁率.361/長打率564/OPS.920
取材・文 小島克典(スポーツカルチャーラボ)