ひとりで出歩く時は、“SNSの自分”とは違うダサい格好をする

ユウキさんによると、どこのだれが自分のことを知っているのかわからない恐怖があるという
月に10本前後のライブをこなし、ワンマンでは100人以上を集めるユニットに所属しているユウキさん(20歳・仮名)は、「Twitterをメインに複数のSNSを使っていますが、基本的に同じ服で出かけたり仕事現場には行きません」と話す。
「居酒屋で友達数人で飲んでいた時に、隣の席の4人組の男の子に『ユウキちゃんですよね?』って声かけられたんです。オタクには全く見えない感じの大学生とか専門学生みたいな人でした。ユニット名も出されたから確実なんですよね。でも彼は、ライブに来たこともないし、私のことをフォローもしてないけど、『可愛いなと思ってSNSはチェックしてた』って言うんです。結構、男の話とか下ネタとかいっぱい話してたから気まずいっていうのもありました。
でも何がいちばん怖いって、私のことを誰が知っているのかわからないことです。SNSって不特定多数に見られているし、リプやコメントをくれたりライブやイベントに来てくれる人が全てじゃないんだなって。Twitterのフォロワーは1000人超えてるけど、私が顔を知ってるファンの数なんて50人ぐらいじゃないかな。自分のことを知っているのは、自分が認識しているファンだけじゃないんだって改めて気づきました」
これがキッカケとなり、ひとりで外に出るときはファンから気づかれないように、あえてSNSの自分とは違うダサい格好をするようになった。
「わざと髪を結んで、ダテメガネしてます。マネージャーの送り迎えがあるときや友達といるときは自由にオシャレをするけど、仕事が終わる時間が遅いってわかってる日は、そういう格好をしますね。
あと、お金的には厳しいけど、夜道に人が少なければ迷わずタクシーを使う。襲う人が悪いのは当然ですが、何かあってからでは遅い。用心に用心を重ねていますね。これだけ気をつけていてもSNSの写真の瞳に写った景色を見て、自宅を特定なんてされたら、もうどうしていいのかわからないですけどね……」
ユウキさんはそう言って不安な表情を見せた。筆者も底辺ながら一応グラドルだが、正直何か対策をしたことは1度もない。
近所で声をかけられたことは何度もあるし、何なら自転車に乗っているときに声をかけられて、なぜかしばらく並走したこともあった。だが、その後同じ人に頻繁に会うことや待ち伏せされたことは一度もない。ありがたいことにたまたま良いファン、良識があるファンだっただけで、運が良かっただけなのかもしれない。
たとえ芸能活動をしていなくてもSNSをやっている時点でいつ危険な状況に陥るか分からないということは意識しておきたい。<取材・文/吉沢さりぃ>
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。近著に『
最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)がある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。Twitter:
@sally_y0720