21歳でアイドルグループ卒業、歌舞伎町で選んだセカンドキャリア
現在、“アイドル”と呼ばれる女のコは全国に数百、いや、数千人は存在すると言われている。しかし、どれだけ人気を得てもアイドルでいられる期間は限られている。そこで、だれもが直面するのがセカンドキャリアをどうするべきか。一般企業で働く人もいれば、結婚して主婦になる人もいる。アイドルにとって、その後の生き方については悩ましい問題である。
小柄で愛くるしいアイドル然とした見た目の越智さん。だが、彼女がアイドルを目指した理由はあまりにも意外なものだった。
「私、いまだから言えるけど、昔は結構ヤンチャだったんです。いわゆる元ヤンですね(笑)。地元は割と荒れている地域だったので、中学1~2年生の頃はまわりと同じように遊んでいましたね。ただ、そんな生活にも飽きてしまって。それに、このまま一生遊び続けるわけにもいかないだろうなって。そんなことを思いながら受験シーズンに突入したんです」
現在の越智さんからは元ヤンだった姿が全く想像がつかない。無事に受験が終わった時に、「次に何をやろうか」と頭に浮かんだのがアイドルだった。実は、それを後押ししたのが母親だったという。
「小さい頃から人前に出ることや、人を喜ばすことが大好きでした。高校入学も決まったし、『アイドルをやってみたいな』ってママに言ったら、すごい乗り気で。『ここなんか良いんじゃない?』って見つけてきてくれたのが、私が所属していた事務所のオーディションでした」
越智さんは見事、「Stand-Up! 研究生オーディション」に合格。高校1年生の5月から22人のメンバーに選ばれた。念願のアイドル活動だったが、軌道に乗るまでは時間を要した。
「9月にライブデビューはしたけど、いつになったらきちんと“ユニット”として活動できるのか。先行きが見えない不安のなかで、たくさんの子が辞めていきました。諦めて他のユニットを探すという選択肢もあったけど、とにかく続けることが大事だなって。いつか表に出れるだろうと、信じてやるしかないって。そして、高2でやっと『イケてるハーツ』としてデビュー出来た時は、本当に続けて良かったと思いました」
全日制の高校に通いつつ、アイドル活動にも手も抜かなかった。デビュー曲のリリースイベントは9日連続。それでも「絶対に休みたくなかった」と彼女は言う。
「毎日朝から学校で、放課後はライブやレッスン。修学旅行にも行ってません。もちろん、運営に言えば休めたと思うけど、ちょうどレコーディングの時期と被ってしまって。私にとってはアイドル活動が大事だったので、レコーディングを優先しました。
せっかくここまで頑張ってきたのに、休んで歌割り(※自分が歌うパート)がもらえなかったら……って考えたら、休むという選択肢はありませんでした」
その後、ユニットは徐々に知名度をあげ、テレビやラジオに多数出演。全国のライブハウスや海外でも公演を行った。
そんななか、越智さんは2020年1月、全力で取り組んできたアイドル活動を引退。だが、若干21歳。ユニットを抜けても、アイドルを続けるという道もあったのではないだろうか。
「後悔がないって言ったら、それは嘘になります。もっと売れたかったし、アイドルとして叶えられなかったこともある。でも、そんなことは卒業ライブで全部忘れましたね。嫌なことは全て消え、結果的にアイドルだった期間の全部が楽しかったなって。5年半、まるっと同じグループで活動できたことが本当に良かった」
アイドルの“越智かりん”として迎えた卒業ライブ。場所は新宿・歌舞伎町のド真ん中にあるライブハウス「新宿BLAZE」。オールスタンディングで約800人の収容規模。ここでライブをすることが、彼女の目標のひとつだったのだ。
新宿・歌舞伎町のさくら通りから路地裏に入ると、そこには2月にオープンしたばかりのダーツバー「SEKAIDE1BAR」がある。店長を務めているのは、越智りんかさん(21歳)。つい先日まで“越智かりん”という芸名で活躍した元アイドルである。
彼女は人気アイドルユニット「イケてるハーツ」の初期メンバーとして、2020年1月11日に卒業するまで5年半、1953日に渡って活動してきた。とはいえ、まだ21歳。アイドルとしてはあまりにも若くして引退したようにも思えるが……。越智さんが、なぜアイドルを辞めて店を開いたのか。その裏側を聞いた。
高校時代、ヤンキーからアイドルへ転身
青春の全てを捧げて夢のステージへ
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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【SEKAIDE1BAR】
住:東京都新宿区歌舞伎町1丁目10−12 豊ビル B1F
電:03-6233-9933
営:20時~翌5時
休:木曜
料:チャージ500円(フリータイム)、ドリンク800円〜、ダーツ1ゲーム100円、カラオケ歌い放題
Twitter:@sekai_21
Instagram:@sekaide_1bar
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