新宿で卒業して、新宿で再スタート
越智さんはアイドル卒業後、間髪入れずに店を開いたが、実はユニット在籍中から「新宿で卒業して、新宿で再スタートする」と決意していた。
「ずっとアイドルとして突っ走ってきたけど、1~2年前から今後について考えるようになりました。後輩も育ってきたし。私のママが地元で小料理屋をやっているのですが、たくさんの常連客がいて。それはつまり、
自分にとってもお客さんにとっても“居場所がある”ってことなんです。すごい素敵なことだなって、尊敬していました。そんななかで、漠然と『いつか自分も店をやりたいな』って思いがあったんです」
そして、いざ「自分で店をやる」と決心してからはすぐに動いた。1年前には食品衛生責任者の資格も取っていたという。しばらく空いているテナントが見つからずにいたが、絶対に新宿、歌舞伎町でやると決めていたそうだ。
「
日本で一番盛り上がっている街で勝負したいなって。場所柄、来にくいと感じる人もいるんですが、うちはとにかくアットホームなんです。チャージは500円のみ(フリータイム)だし、カラオケもタダで、ダーツは1回100円。“ダーツバー”という形態にしたのは、お客さんも含めてみんなが仲良くなれるかなって。いい意味でみんなを巻き込んで楽しめるじゃないですか」
店内にはダーツが設置されている
壁やテーブルなど、随所のビタミンイエローが印象的な店内には、彼女なりのこだわりがある。この色は「イケてるハーツ」時代の越智さんのイメージカラーだ。店名の「SEKAIDE 1 BAR」にも由来がある。
「私のキャッチフレーズが“
世界で一番越智かりん”だったんです。歌舞伎町のバーで一番になりたい。店の知名度もどんどんあげていきたいし、売上もあげていきたい。毎日ビタミンイエローの壁を見て、頑張らなきゃって思いを強くする。やっぱり、
アイドルの越智かりんがあったからこその今なんです」
慣れた手つきでドリンクをつくる越智さん
越智さんは従業員のことを“選手”と呼ぶ。
「従業員っていうと何だか味気ないじゃないですか。店の名前が“SEKAIDE1BAR”だから、一緒に戦う仲間って意味も込めて選手なんです。これは徹底していて、真面目なミーティングの時にも選手って呼びます」
開店して1か月。日々新鮮で楽しいと話すが、当初は不安がないわけでもなかった。
「一緒に卒業したメンバーや、高校時代の友人が働いてくれているんですけど、何かあった時に怒ったら嫌われないか……そんな不安はありましたね。でも、だんだんひとつにまとまってきている。今は、選手たちが可愛くてたまらないんです。私という人間と一緒に働きたいと思ってくれた人は、絶対に大事にしたいと常に思っています」
終始ニコニコと店について語る越智さん。
「私が店長ですが、自分が主役だとは思っていません。選手たちもお客さんもみんなが主役の店にしたいなって。お客さんもお客さんというよりは、一緒に楽しめる仲間って感覚ですね。みんなが主役でみんなが仲間。お店がもう少し落ち着いてきたら、店休日にみんなでBBQしたりキャンプに行ったりしたいなって」
小さなカラダで大きな野望を持つ彼女の店が、歌舞伎町を盛り上げる日はそう遠くないのかもしれない。<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/藤井厚年>
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『
最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『
現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):
@sally_y0720
【
SEKAIDE1BAR】
住:東京都新宿区歌舞伎町1丁目10−12 豊ビル B1F
電:03-6233-9933
営:20時~翌5時
休:木曜
料:チャージ500円(フリータイム)、ドリンク800円〜、ダーツ1ゲーム100円、カラオケ歌い放題
Twitter:
@sekai_21
Instagram:
@sekaide_1bar