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コロナ禍で廃業寸前のバー店主、ジム経営者の絶望「もう家賃が払えない」

 長引くコロナショックで、個人事業主、特に店舗を構える飲食店、サービス業の生活基盤がいよいよ脅かされてきている。筆者の周辺から漏れ聞こえてくる当事者たちの悲鳴と現状についてお伝えしていきたい。

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バー経営者(47歳)「ダメージが少ないうちの廃業も視野に…」

 コロナウイルスの自粛要請によって、居酒屋やバーなど夜の酒場は壊滅状態に陥っている。東京世田谷区でカジュアルなバーを営む小森昭典さん(仮名・47歳)によると、3月中旬までは営業が成り立っていたという。 「もちろん売上は落ちていましたけどね。それでも『こういうときだからこそ……』と支えてくれる常連のお客様もいたんです。だけど3月30日に小池百合子都知事がバーやナイトクラブの自粛要請をしたじゃないですか。あれで万事休す。4月7日の緊急事態宣言を前に店を閉めました」  いち早く休店へ踏み切ったのは理由がある。休業支援や貸付を店側が実際に手にできる権利は、休業したのが早い順だという話があったからだ。ちなみにこの説は税理士と相談する中で出てきたという。 「うちは家賃が20万円弱。店を開けなくても、水道、ガス、電気、ネットなどの光熱費はある程度かかる。つまり固定費だけで30万円くらいは飛ぶんですよね。今は家賃の支払いを待ってもらえないか大家に懇願書を提出したり、金融公庫に相談したりしている最中。とはいえ金融公庫も常に長蛇の列で、カオス状態ですから。精神的に疲弊しています。  一番の問題は収束するメドが見えないことなんですよね。GW明けには普通に営業できるようになっているなら、なんとか持ちこたえられる。だけどこの状態が半年~1年続くようなら、ダメージが小さいうちに店を畳みたいというのが本音です」  小池都知事は会見の中で「飲食店での酒類の提供時間は午前5時から午後7時まで(営業は夜8時まで)」とするよう要請した。夜間の3密を避けるため夜7時までというのはわかるにせよ、朝5時というのがまったく腑に落ちない。 「夜間に外出しなくても、昼間に3密していたら本末転倒ですよ。実際、高円寺などは週末は昼間から営業している焼き鳥屋がゴロゴロあります。経済的に追い詰められ、破れかぶれになった居酒屋オーナーがどんどん昼営業に踏み切ることだって考えられる。  そうなった場合、ストレスが溜まった客で賑わうはずです。いくらコロナが騒がれても、子供は公園で遊ぶじゃないですか。はけ口を求める大人が酒場に行くのも同じこと。飲み屋は大人の公園ですからね」  繁華街に活気が戻るのはいつの日か……。
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「ジムに行けないのに金を払う会員はいない」
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