仕事

コロナ禍で廃業寸前のバー店主、ジム経営者の絶望「もう家賃が払えない」

スポーツジム経営者(52歳)「行けないのに金を払う会員はいない」

 東京都から「クラスターが派生しやすい場所」とを名指しで休業要請されたスポーツジム。経営はどこも火の車だ。ジムの月謝は銀行から自動引き落としされるため、売り上げへの影響は少ないというイメージがあるが、話はそんな単純ではないという。都内の超一等地でジムを運営して20年以上になる太田忠司さん(仮名・52歳)が語る。 「大手の定額ジムと違って、うちの場合は引き落としが会費だけですから。インストラクターがつく指導料は月によって変えていきたいというお客さんがほとんどだし、スポット会員だっている。それに休会や退会だって多いですからね。ジムへ行かないのにお金だけ払うのは当然みんな嫌でしょう。  2月まではよかったんですよ。会員さんも1~2か月は我慢してくれます。でも政府が長期戦になるとコメントを出したものだから、辞める動きがどんどん加速した。外出禁止の要請が続くと、やっぱりみなさん考えますよね」  経済産業省は「持続化給付金」として法人200万円、個人事業者で100万円の給付を発表している。ただしこれは収入を証明する銀行通帳の写しが必要で、手続きは単純ではない。情報も錯綜しており、担当部署にも電話が繋がらないという。個人事業者給付の道を模索する太田さんも「来店が基本」「予約はできない」「4~5時間待ちの状態」と関係者から聞き、みるみる気持ちが萎えていった。 「支給条件は『前年同月比50%の減収』。あくまでも収入減であって、利益減じゃダメというのがネックになる。うちの場合、家賃がかなり高いですから。政府もこんな非常時に補償渋りしている場合じゃないでしょう。財源確保ができないと言い訳するけど、議員報酬や歳費、あるいは公務員の人数を削ってまで財源を確認する覚悟がない。結局、他人事なんですよね。  今までのところ、政府の対応には不満しかありません。でも、さすがにこのまま進むとは思えない。この調子じゃ日本経済が崩壊してしまいますしね。一刻の猶予もないのは事実ですが、行政がどういう動きをするのかしっかり様子を見たいです」  先の震災のときは「ピンチはチャンス」と気持ちを切り替えて踏ん張ったが、「今回のピンチはピンチでしかない」と肩を落とす太田さん。自身の分身ともいえるジムを閉鎖して、新たなビジネス展開も考え始めているという。  嘆きは止まらないが、それでも生きていくためには自ら動くしかないということか。コロナ騒動が収まったところで、経済がガタガタになったら弱肉強食の生存競争が一段と激化するはずだ。事業主の暗中模索は続く。
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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