仕事

飲食店「協力金バブル」の落とし穴。もう普通の日常には戻れない

フードデリバリーサービス配達員の懸念

配達員 東京都内在住で、昨年4月からUber Eats(ウーバーイーツ)などのフードデリバリーサービスの配達員を行っている依田篤志さん(仮名・20代)が不安を吐露する。 「日常が戻るとなると、仕事は減るでしょうね。不景気で新規の参入者も増えているし、これで食えなくなれば、また無職に戻ってしまうのか」(依田さん、以下同)  大学を中退後は仕事をすることもなく、3年ほど実家でニート生活を送っていたが、コロナ禍によりタクシー運転手である父の収入が激減。母親から泣きつかれ、これでは流石にまずいと一念発起、ようやく始めた仕事が配達員だった。  依田さんの収入は、ここまで順調に右肩上がりを続けてきた。しかし……。 「ステイホームが呼びかけられ、特に昨年の夏以降は本当に注文数が増えました。都内であれば、1日1万円以上稼げる日ばかり。働けば働くほど稼げるので、労働の楽しさを知りました。ですが、配達員の数も同じように増加。今は配達リクエスト(注文数)が増えているのでいいですが、コロナ禍が終われば、確実に受けられる数は減るでしょう」

“コロナ”を口実に人とのやりとりが最低限で済むのが良かった

 事実、緊急事態宣言の最中でありながらも、天気の良い休日などは、街に人が繰り出すようになっていた。その数に反比例して配達リクエストは減る。Uber Eatsのほか複数のフードデリバリーサービスに登録し、なんとかしのいでいるが、以前のようには稼げなくなってきていることも痛感している。 「やっと社会復帰できたと思っていたところ、また試行錯誤をするハメになりそうで……。もともと人とのコミュニケーションがうまくありません。正直、“コロナの感染対策”を口実に、人と会うことが最低限で済ませられるというのがよかったんです。普通の仕事は、たぶん僕にはできない。  新しい生活様式なんて言いながら、みんな外に出たいに決まっています。正直、コロナがもっと続いてくれればと思います」  すっかりコロナ禍の日常に慣れてしまった私たち。そこには一定数、“コロナありき”の生活でお金を得ていた人たちも存在する。そんな人たちにとってみれば、「普通の生活」の再来は頭の痛い問題なのだ。<取材・文/森原ドンタコス>
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