仕事

「男が育休取ります」なんて答えられるわけがない、中小企業の現実

出世コースから外れてしまう怖さ

出世「働き方改革ですら“砂上の楼閣”。改革を進めています、という報告を本社にあげるため、コロナ禍のリモート体制でも闇出社や闇残業のオンパレードですよ」  九州地方にある大手企業の子会社に勤務する町田隆幸さん(仮名・40代)もまた、会社幹部だけが息巻く「改革」に振り回され疲弊している一人。働き方の改革どころか改悪が進む真っ只中で、さらに産休や育休を男性社員が取る、ということは不可能に近いと話す。  また、田舎ならではの「価値観」も影響してくるのだという。 「男性が育休を取れるようになったことを両親に話すと、『絶対に取るな』と釘を刺されました。出世コースから外れるし、これは罠なのだと(笑)」(町田さん)

女性だって産休・育休を満足に取れていない

「実際、私が住んでいるような地方では、女性だって産休や育休を満足に取れていません。一部上場企業でも、地方の支社やそこで働く非正規雇用の女性は、結婚や出産を機に辞めるしかないのですから」(同)  もちろん、こうした不満を持つ人にも産休や育休を取ってもらおう、というのが法改正の主旨ではあろうが、現状とは乖離している、実態に則していない、という声が聞こえてくる。今回の法改正に限らず、定められる新制度の多くを「上級国民だけのもの」と感じる市民が増えてきている証左なのかもしれない。 <取材・文/森原ドンタコス>
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