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ビジネスでも使える大人のスニーカー選び。まちがってはいけない“ポイント”とは

おすすめできないスニーカーの特徴

ほぼ私服でいい職場や、そもそも街でしかスニーカーを履かないという方に、筆者がおすすめしないスニーカーの特徴を二つ紹介しておきます。大枚をはたいて買ったものの、数年でダメになるものが中にはあるからです。 まず一つめは、底がポリウレタンのもの。ポリウレタンは加水分解をしたらそれで終了です。例えば、ナイキであれば「エアマックス」シリーズのほぼ全部、「エアジョーダン」シリーズも「1」以外ほぼ全部、ニューバランスであれば、「3万円にちかいもの」はほぼ全部です。 これらのスニーカーは、花の命と同じように、寿命が短いです。「履けて数年」ということは覚悟しておいてください。毎日のように履いて底の弾力を保ちながら10年以上履くことも不可能ではありませんが、あまり現実的ではないでしょう。ニューバランスの公式HPのQ&Aには、加水分解について「一般的にポリウレタン素材の寿命は製造から3年~5年が目安といわれています」との回答があります。今ではメーカーでも修理していないので注意が必要です。 次に、表は革でも裏(中)が合成皮革のもの。これはスポーツメーカーより、革靴メーカーの高額レザースニーカーに多いパターンです。しかも見分けがつかないぶん、たちが悪い。「天然革使用」と謳っているものでも、中が合皮だと、ポリウレタン同様に数年でボロボロと崩れてソックスにくっつき、履けなくなります。 一応メーカーにも一理はあります。天然革は性質上かならずソックスに色うつりするので、接する「中」や「中敷き」だけは合皮でつくらないと、クレームがくる、というわけです。これは販売員やメーカーに確認するしか方法はありません。メジャーでそれなりのお値段がするメーカーでも、中だけはしっかり合皮だったりします。必ず確認しましょう。メーカーでも修理屋でも、中は「中敷き」の交換が限界です。

「かかとの内側に開く穴」問題の解決法

底の修理が可能なメーカーでも、もとリペア屋として頭を抱えてしまうのが、スニーカーのかかとの内側です。ここに穴が開くという方、心当たりありませんか? 穴が開いていたら、カカトと靴のカカトのボリュームがあっていないか、ゆるく履いて摩擦が起きている証拠です。 構造的に革靴であれば、革を当てて簡単に修理できるのですが、スニーカーの場合は一番上の足首に当たる部分が「袋状」に縫われているので、穴が開いてしまうと、革靴よりずっと大掛かりな修理になります。私もリペア屋の現役時代、正直な話ですが一番やりたくない修理でした。手間がかかるわりに、すぐにまた穴が開いてしまうからです。
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木原産業「アクティカ すり切れボーエー帯」。Amazonや楽天などECサイトで700円程度で販売されている

これは予防するしかなく、「穴が開きそうだな」と気付いたら、さっさとセルフで先に補強してしまいましょう。具体的には、アマゾンなどで販売されている木原産業の「すりきれボーエー帯」が有効です。 あらかじめついている両面テープで穴の開きそうな、あるいはもう開いているところに貼って終了。もちろん革靴にも使えます。値段のわりに素材は本当にタフで作業も単純です。いつも穴が開いて困るという方は、新品の時から貼ってしまいましょう。 もっとも、はじめからしっかりフィットした靴を丁寧に履けばこんなことはめったに起きません。気になったスニーカーは必ず実際に履いてみて、チェックするときにも「カカト周りのすきま」だけは一切、妥協しないようにしましょう。
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ
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