部屋は広く見えても…“低いベッド”を置かない方がいい理由。生活の質を上げるベストの高さとは
今、住宅系のYouTube界隈を騒がせている男がいる。動画チャンネル『ジュータクギャング』の押村知也だ。設計から建築、インテリアコーディネイトに至るまで住宅に関するすべてをこなす住宅のスペシャリスト「住空間クリエイター」である。歯に衣着せぬ彼の発言は、わかりやすくて痛快。『ジュータクギャング』は、更新のたびに視聴者の心をつかみまくっている。
主寝室、それはベッドルーム。プロはいかなるところにこだわり、お金をかけるべきだと考えているのか。そのすべてを明らかにする。主寝室を計画するときにあまり深く考えない人は多い。四角い部屋にベッドを設置して、できればウォークインクローゼットをつけてみたい……。住宅のプロである押村はもちろん、そんな状況をよしとは思っていない。
「ベッドの大きさを知らずに主寝室の設計を決めている人は多いです。主寝室でもっとも重要なのは、ベッドサイズです。キングサイズなのか、クイーン、ダブルなのか、シングルを二つなのか、すべてはそこから計算して考えます。よくある悪い例は、図面上の7.5畳の寝室で絵では問題なさそうでも、現実には部屋として機能しないパターン。ベッドサイドの通路部分に人が動く動線が取られていないので、カニ歩きして通るしかないとか、クローゼットの扉がベッドに干渉する、寝室のドアを開いたらベッドの隅に当たる、なんていう例もあるほどです」
もちろん、ベッドそのものにも重要なポイントがある。
「ベッドは高さがいちばん重要で、フレームだけを測ってもダメです。必ずマットレスの厚さを足して計算すること。具体的には、フレーム+マットレスで45〜50㎝がちょうどいいです。『ベッドを低くすれば部屋が広く見える』と謳う人もいますが、僕は賛成しません。床から25〜30㎝ぐらいの低さだと、腰をかけにくいからです。ベッドは寝るだけではなく、ちょっと腰かけられる位置にあるほうが生活の質は上がります」
ちなみに、ベッドのフレームには「あまりお金をかけなくてもいい」というのが押村の意見だ。
「人が身を預けるのはマットレスですから。フレームを節約する分、マットレスにお金をかけたほうがいいでしょう。リビングならソファ、ダイニングや個室ならチェア、寝室ならマットレス。どれも考え方は同じで、快適な人生を送りたいなら、身を預ける部分を優先してお金を投じるべきです」
ベッドの配置が正しいかは、図面だけでは見極められない

部屋が広く見える“低いベッド”がNGの理由
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(おしむらともや)スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設。近著『美しい家のつくりかた』
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