フィリピンの水上スラムで少数民族の女性と国際結婚した日本人男性の“その後”――大反響トップ10
反響の大きかった2023年の記事からジャンル別にトップ10を発表してきた。今回のジャンル分けには当てはまらなかったけど、まだまだある大人気だった記事を紹介する!(集計期間は2023年1月~10月まで。初公開2023年9月17日 記事は取材時の状況)
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グローバル化が進み、海外移住の末に現地で国際結婚する人が増えた。しかし育った環境や価値観が異なることから、すれ違いが生まれてしまうケースも多い。
10代でセブ島に渡った大夢さんは、現地でのNPO活動を通してバジャウ族と知り合った。バジャウ族とは、東南アジア周辺の水上に住み漁業を生業としてきた民族だ。
彼らの魅力を伝えたいと活動を始めた大夢さんは、人間関係を築くなかで村に住むことを許されるようになる。
のちに妻となるシャイマさんとの出会いは、ある日参加した村の結婚式だったという。
「バジャウ族の結婚式って、三日間くらい続くんだよね。村長の家の前の水上広場でやるの。男たちの演奏と歌に合わせて、着飾った女の子たちが伝統舞踊を踊るんだけど、その中のひとりにシャイマがいたんだ」
一目惚れした大夢さんは、近くにいた妙齢の女性に「あの子可愛いね」と伝えた。すると、“パンジ”を勧められたそうだ。
「パンジはチップ的なもので、踊り子がヒラヒラさせている掌に、折り曲げた紙幣を挟む行為。踊っているシャイマの手にパンジしたのが、最初のきっかけ。結婚式のあと『あの可愛い子は誰?』って聞きまわっていたら、俺がシャイマを好きだってうわさが広まったんだ」
さらには近所の世話焼きな女性により、シャイマさん本人に「ヒロがあなたに会いたがっている」と勝手に話をされていた。
「そんなことになっているなんて俺は知らなかったけど、むこうは俺が来る準備をしていたらしくてさ。おばちゃんに『シャイマが待っているから早く行きな!』って急かされて、行かざるをえなくなったんだよね(笑)」
家を訪問したことがきっかけで、ふたりはデートを重ねていった。友達以上、恋人未満な関係ではあったが、彼女の家族にも受け入れられたという。
出会いから2ヵ月後、大夢さんは結婚を決意する。決め手となったのは、彼なりの直感と、いくつかの出来事だ。
「シャイマと遊ぶようになったタイミングで、フィリピンのNCIP(※国家先住民問題委員会)が俺を訪ねてきたんだ。『何でこんなところに日本人が住んでいるんだ』って。バジャウ族の人たちは『ヒロはいいヤツだし、バジャウ族のための活動をやっているんだ』って助けてくれていたけど……NCIPからすると、少数民族のコミュニティに変な日本人が住んでいるのが気に食わないらしくて。鬱陶しそうな扱いを受けたんだよね」
NCIPに何度も呼び出され、事情聴取を受けるうちに、「俺がバジャウ族と結婚しちゃえば、誰も文句を言えないだろう」と考えるようになったという。
さらに、シャイマさんの引っ越しも大きな理由となった。
「彼女の両親は真珠を売る仕事をしていたんだけど、セブ島よりも稼げるパラワン島(※フィリピン南西部にある島)に家族で移住する予定だったんだよね。そうなると、シャイマと離れ離れになって会えなくなってしまう。俺と結婚するならセブ島に残れるって言うから、『離れるなんて絶対にイヤだし、結婚するなら今しかない!』と思ったんだ」
話はとんとん拍子で進んでいき、交際0日での電撃結婚となった。バジャウ族以外の友人からは「考え直したほうがいい」と反対されたものの、最終的には周りを納得させたそうだ。
都内在住の松田大夢さん(28歳)は2016年、フィリピンのセブ島に住む少数民族「バジャウ族」の女性と、出会って2ヵ月でスピード結婚。結婚から1年半後には長男も生まれた。
ふたりの仲睦まじい様子は当時、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアに取り上げられて話題を呼んだ。順風満帆かのように思えた結婚生活。しかし大夢さんが行っていた活動が引き金となり、夫婦の仲は少しずつ壊れていったという。いったい、何があったのか。ふたりの“その後”に迫った。
出会いはバジャウ族の結婚式
出会いから2ヵ月で電撃結婚
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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