「課長を出せ!」取引先の女性が怒り狂った“まさかの理由”にあ然。やんわり指摘した結果…
顧客が企業に対して理不尽なクレームや言動をする「カスハラ」(カスタマーハラスメント)。最近でこそ問題視されるようになってきたが、今に始まった話ではない。
筆者(綾部まと)はメガバンクの営業店で8年間勤務し、多くの顧客や取引先を見てきた。その中には人格的に優れた者もいたが、法律違反すれすれの迷惑行為を繰り返す者もいた。
今回はそれらの経験から、銀行の迷惑客たちによるカスハラのエピソードをご紹介する。
都内の支店に配属にされた女性行員のAさんは、法人営業をしていく中で、ある取引先に頭を悩ませていた。
「経理の中には若手銀行員を困らせてストレスを解消する人がいると、先輩から聞いてはいました。最悪なことに、私の取引先がまさにそれでした」
その取引先にはベテランの経理女性がいて、銀行の取引は全て彼女が取り仕切っていたという。彼女はAさんが訪問するたびに「女性らしさが足りない」「何も言わなくても私の気持ちを察しなさい」と長時間にわたってネチネチと小言を言ってきたらしい。
「なるべく行きたくないんですが、私の取引先の中で大口の外為先(外国為替の取引が行われる先)はそこだけだったんです。だから取引を切るわけにはいけませんでした。他の人に担当変更しても、外為の営業目標がしんどくなるだけですしね」
その経理に決定権はないものの、社長とのアポイントは全て彼女が取り仕切っていたようだ。だからAさんは粛々と対応していたのだが、支店に経理から「課長を出せ!」と、一本の怒りの電話が入った。
「その電話はクレームでした。私が返却した外貨預金の通帳に、残高が印字されていなかったみたいです。すぐに通帳を取りに来て、店で記帳をして返して欲しいとのことでした」
Aさんが通帳を返却したのは、外貨預金の入金後。入金の際、実は銀行側には記帳をする義務はない。親切でやっている行員もいるが、店が混んでいると記帳は省かれることが多い。ネットバンキングで残高は確認できるからだ。
記帳がされていないのは、今回が初めてではないらしい。Aさんの前任者も、特に入金後に記帳はしていなかったとのことだった。しかし経理があまりに怒っていたため、Aさんと課長は午後の予定を変更して急遽、謝罪に向かったそうだ。
「課長が記帳は本来必要ないと説明しても、経理は事故だと主張して聞く耳を持ちません。私のことを『気遣いができないから人として失格』『二度と来ないで欲しいけど、取引があるから仕方ない』と言うばかりで、話にならないんです」
課長が「せっかくネットバンキングを契約いただいているので、ネットでできる取引はAを呼びつけずにご自身でやってみては?」と提案したところ、火に油を注いだらしく、なんと部屋を出て行ってしまったという。
「結局、ベテランの男性行員に担当替えをしました。経理に気に入られたらしく、かわいがってもらってるみたいですよ。新人か女性か、どちらかが嫌いだったんでしょうね」
①女性新人を嫌う取引先のいやがらせ
課長に謝罪させる
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ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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