更新日:2024年10月22日 18:40
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「父にカッターで顔を切られた」女性が全身に刺青を入れた理由「辛い過去を“乗り越える”意味がある」

 明るいトーンでハキハキと話しながら、癒やしの声色で人気を博すTikTokライバーがいる。るいるいさん(@ruchasama0803)、22歳だ。美貌もさることながら、17歳で初めての出産、現在は2児を育てるシングルマザーという経歴に驚く。胸元、背面、腹部、左腕、左太ももに宿した大きめの刺青も印象に残る。  微笑みながら「3ヶ月のとき、乳児院に預けられたらしいんです」と出自を明かす彼女の、壮絶な人生に迫る。
るいるいさん

るいるいさん

児童養護施設で面倒が見切れなくなってしまい…

 るいるいさんが育ったのは児童養護施設。両親はるいるいさんが3ヶ月のときに乳児院に彼女を預けた。 「児童養護施設での生活は、振り返ると非常に楽しいものでした。現在でも、当時の先生たちに会いに年に4~5回は帰りますね。私にとっては、彼らが親のようなものなんです」  親のようなもの――本当の親との交流はあったのか。実はるいるいさんは16歳のとき、「実家」に帰されたのだという。 「高校生のとき、私、とても荒れていて(笑)。タバコを吸ったりバイクに乗ったり、とにかく素行が酷かったんです。それで施設側で面倒を見きれなくなってしまって。16歳で実家に戻す措置が取られたんです」

名前さえ知らない“その家にいた男女”

るいるいさん

当時、顔につけられた切り傷

 直後、るいるいさんが続けた言葉に、筆者は当初、戸惑った。 「ただ、その家が実家なのか、ついにわかりませんでした。私はいつも”その家”と呼んでいました。同様に、その家には男女がいて、私の両親だというのですが、私は常に“男”と“女”だと思っていました。なぜなら、私は両親の名前を知らないし、呼んだこともないのです。その家では、加速度的に虐待がひどくなり、とうとう3ヶ月しかいませんでした」  るいるいさんは未だに、実の両親を「その男」「その女」と呼ぶ。精神的なつながりを一切感じられないのは、目を覆いたくなる虐待の痕跡かもしれない。
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口座のお金を勝手に使っていることを咎めたら…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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