打点王・鈴木誠也「オールスターまさかの落選」が名実ともに“追い風”になる可能性
MLBナショナル・リーグとアメリカン・リーグの対抗戦形式で行われるオールスター戦が7月15日(日本時間7月16日)、開幕する。日本人選手はドジャース・大谷翔平選手のほか、ドジャース・山本由伸投手、エンゼルス・菊池雄星投手3人の出場が決定。他方、ナ・リーグの打点でトップを争っているカブスの鈴木誠也外野手は選出漏れした。ジャーナリストの森田浩之氏は、落選の要因について考察すると共に、むしろ好機と持論を展開する(以下、森田氏の寄稿)。
日本時間の7月16日に行われるMLBオールスター戦に、史上最多タイとなる3人の日本人選手が選ばれた。
いや、本来なら4人選ばれていたはずだ──そんな声が聞こえてくる。幻の4人目とはカブスの鈴木誠也。オールスター戦のメンバー発表の時点で、鈴木はMLBトップの77打点をたたき出していた。「打点王」のまさかの落選には日本だけでなく、アメリカでも疑問の声が上がった。
カブス専門メディアの「カビース・クリブ」は「鈴木の選出漏れは悪しき歴史となる」と見出しをつけ、「オールスター戦前に25本塁打・75打点を記録したのは、カブスでは’01年のサミー・ソーサ以来」と指摘した。ソーサは「30─30(30本塁打・30盗塁)」を2度達成し、通算609本塁打を放った強打者だ。
鈴木の落選の要因としては、全球団から最低1人を選ぶというルールにより他の選手が優先された影響が挙げられている。カブスからはファン投票ですでに2選手が選ばれていたことも、鈴木の選出が見送られた理由とみられた。
落選は残念だったが、鈴木にとって悪いことばかりではない。まずオールスター戦の期間中、休養に専念できる。前半戦は好成績を上げながら、オールスター戦出場後に調子を落とす選手は少なくない。鈴木は毎年のようにケガに悩まされてきたから、ここでブレイクを取ることは悪くないだろう。
大谷とドジャースに偏りがちな日本のメディアの目を自身に向けさせたこともよかった。スポーツ紙は好調の阪神でも大谷の活躍でもなく、「誠也 球宴漏れ」を一面にした。NHKのニュースも落選の要因に時間を割いていた。
そもそも鈴木は、メディアの注目をもっと集めていい。MLB4年目を迎えて通算本塁打数は、巨人からヤンキースに移籍した松井秀喜の4年目終了時を超えた。今季は打点で、昨季の打点王である大谷に大差をつけている。
大リーガーの貫禄も身につけてきた。記者会見で「選ばれた選手の負傷などで追加選出される可能性もあるが」と聞かれ、鈴木は「いや、もう(予定が)埋まっているので、すいません」と答えて笑いを取った。ウイットのある応対は、アメリカのメディアを味方につける。
ナ・リーグ中地区で首位を争うカブスが後半戦を勝ち切るには、鈴木の打棒が欠かせない。「オールスター戦よりも行きたい」と自ら語っていたポストシーズンの初舞台に、鈴木が立つ日を待ちたい。
もりたひろゆき●ジャーナリスト NHK記者、ニューズウィーク日本版副編集長を経て、ロンドンの大学院でメディア学修士を取得。帰国後にフリーランスとなり、スポーツ、メディアなどを中心テーマとして執筆している。著書に『スポーツニュースは恐い』『メディアスポーツ解体』など

写真/産経新聞社
鈴木誠也がまさかの落選
鈴木誠也はもっと注目されていい

森田浩之
もりたひろゆき●ジャーナリスト NHK記者、ニューズウィーク日本版副編集長を経て、ロンドンの大学院でメディア学修士を取得。帰国後にフリーランスとなり、スポーツ、メディアなどを中心テーマとして執筆している。著書に『スポーツニュースは恐い』『メディアスポーツ解体』など
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