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ホウレンソウの“2~3倍の栄養価”?夏に食べたい雑草「シロザ」の魅力と安全な採取法

 刈っても刈っても生えてきて、厄介者扱いされる雑草だが、実は食べられるものがほとんどである。  もし、無料・無尽蔵に入手できる雑草をおいしく食べられたら……、「生きる力」が爆上がりするのではないだろうか。  身近な存在でありながら、魅力を知る者は少ない「雑草」。その底力とおいしい食べ方を、『おいしい雑草図鑑』の著者で雑草料理研究家の前田 純氏に聞いた。

無料で無尽蔵、おいしく雑草を味わえることは「生きる力」になる

おいしい雑草図鑑

前田 純氏。京都大学農学研究科農学専攻雑草学研究室で雑草を学び、雑草の栽培と販売を行う企業を起業。2025年3月に著書『おいしい雑草図鑑』を上梓したばかり

――素朴な疑問から教えてください。雑草は野菜や山菜とは何が違うのでしょうか? 前田 純氏(以下、前田):私がよく説明させていただくのは、人間にとって役に立たない植物を「雑草」といっています。  雑草だった植物を美味しく食べられるようにしたものが「野菜」ですね。「山菜」は雑草に近いんですけど、みんなが食べているものが「山菜」という形なのかと。 ――なるほど。人間の都合で分けているということですね。 前田:ヨモギはヨモギ餅や生薬に使われ、人間にとって有用です。だから誰も雑草って呼びませんよね。でも農地に行くと雑草なんですよ。野菜が育たなくなっちゃうので。  だから、見方や立場によって「雑草」っていうのは結構変わってくるんじゃないかなと。

雑草がないとはちみつが作れない!?

おいしい雑草図鑑

外来種のセイタカアワダチソウ。早春の若葉が苦みがなく食べやすい。前田さんは化粧品の原料として栽培している

――たとえば、前田さんがビジネスで栽培されているセイタカアワダチソウも、ものすごく有用だと認識されれば、雑草とカテゴライズされなくなる可能性もあるんですね。 前田:国が変われば価値観も変わりますよね。たとえばアメリカでは、セイタカアワダチソウは養蜂家にとって非常に重要な植物です。  アメリカは日本ほど植物の種類が多くないので、セイタカアワダチソウがなくなると養蜂ができなくなってしまうんです。 ――セイタカアワダチソウのはちみつですか? 前田:日本にレンゲはちみつがあるように、向こうでは「ゴールデンロッドハニー」という名前で、セイタカアワダチソウのはちみつが普通に売られています。  日本人からすると少しクセがある味かもしれませんが、アメリカ人にとっては馴染み深い美味しいはちみつなんです。
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夏に食べたい雑草のおすすめは、クセがなく食べやすい「シロザ」
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おいしい雑草の魅力と見分け方、おすすめの調理法、生薬としての効能、誤認すると危険な毒草までを、京都大学農学研究科農学専攻雑草学研究室で雑草学を学び、現在は雑草栽培をする会社を立ち上げた「雑草のプロ」で雑草料理研究家の前田 純が、詳しく紹介します。