夏バテに効く「スベリヒユ」の魅力とは?雑草料理研究家が教える意外な栄養価と美味しい食べ方
野菜の原種でもある雑草は、野菜以上に豊かな栄養素を持っている。夏においしい「スベリヒユ」は、若返り成分とも称されるオメガ3脂肪酸を植物のなかでもっとも豊富に含むといわれ、スーパーフードのような存在だ。
日本のほとんどの場所では雑草だが、実はヨーロッパでは野菜として普通にスーパーで売られている。
そんな「スベリヒユ」のおいしい食べ方と採取法を、『おいしい雑草図鑑』の著者で雑草料理研究家の前田 純氏に聞いた。
――前田さんおすすめの、6~7月の時季においしい雑草を教えてください。
前田 純氏(以下、前田):ホウレンソウの仲間の「シロザ」は食べやすくて初心者におすすめですが、クセがなさすぎて雑草らしさをあまり感じられないかもしれません。
――雑草らしいクセも楽しみたいと。
前田:はい。「スベリヒユ」は酸味とぬめりがあって、雑草らしさを楽しめながらも、一般の方にも食べやすいんです。山形では「ヒョウ」と呼ばれ、郷土料理の「だし」にも使われていたと思われます。
夏バテで食欲がないときにもよいですし、オメガ3脂肪酸が植物の中でもっとも多く含まれているといわれています。
美容と健康、脳の働きを高めることなどにもよいとされ、ヨーロッパでは普通に野菜として売られているんですよ。
――それはすごいですね! 美味しい食べ方はありますか?
前田:私は炒め物をおすすめすることが多いですが、あるシェフは生のままサラダに使っていました。その青臭さがアクセントになって、ナッツと合わせると非常に美味しかったですね。
手でちぎって、オリーブオイルと塩、お好みのドレッシングで和えるだけでも美味しいです。茹でると青臭さが取れますが、あえて青っぽさを活かすのも面白いと思います。
――ここまで有用な雑草なら、栽培したいという人もいるのでは?
前田:栽培するのはまったく問題ありません。以前、保健所に確認したこともあります。
たとえばダイコンが食べられるのは、昔から食べられてきたという「食経験」があるからなんです。論文で安全性が証明されているわけではない。
ですから、毒性がなく、食経験のあるものであれば、栽培して食べても大丈夫です。ただし、「オオキンケイギク」のような「特定外来生物」に指定されているものは栽培してはいけません。
夏バテにも最適なスベリヒユ

茎は赤紫色を帯び地面を這って広がる「スベリヒユ」。花、葉、茎、根すべてが食べられる

ヨーロッパの市場で売られているスベリヒユ。「パースレイン」と呼ばれ、正確には近縁種の「タチスベリヒユ」
酸味とぬめりがあって、雑草らしさも楽しめる「スベリヒユ」をあえてサラダで

スベリヒユのサラダ。スベリヒユのクセがアクセントになり、食が進む

スベリヒユの調理例「スベリヒユの豆腐ハンバーグ ホウレンソウソースがけ」
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『おいしい雑草図鑑』 おいしい雑草の魅力と見分け方、おすすめの調理法、生薬としての効能、誤認すると危険な毒草までを、京都大学農学研究科農学専攻雑草学研究室で雑草学を学び、現在は雑草栽培をする会社を立ち上げた「雑草のプロ」で雑草料理研究家の前田 純が、詳しく紹介します。 ![]() ![]() |
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