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【W杯まであと1年】サッカー日本代表と“世界の強豪”、現段階での“戦力差”はどれほどなのか。「有力クラブ所属選手数」を比較して分かったこと

 3月に行われた試合で、すでにFIFAワールドカップ26の出場権を獲得していたサッカー日本代表。消化試合となったアジア最終予選のオーストラリア代表戦とインドネシア代表戦で多くの新戦力を試した。日本代表を率いる森保一監督は、招集したメンバーについて「こんなにできるんだ」と一定の評価をしながらも、「この代表で選び続けるには、力をつけてもらわなければならない」と、及第点には至らなかったことを示唆した。
サッカー日本代表

10番を背負い、キャプテンの責務も果たした久保

本番まで「あと1年」選手として大化けするには

 今回の2試合に臨むメンバーを発表した際に指揮官は、「勝利を目指すということにこだわりながら、選手一人ひとりの成長を促す」と語っていた。2戦目のホームで行われたインドネシア戦では6-0で快勝したが、アウェイのオーストラリア戦では惜敗している。勝ちにこだわることよりも、新戦力として期待した初招集、再招集組の成長を優先させていたのは明らかだった。すでにワールドカップ出場という直近の目標を達成しているので勝敗は大きな問題にはならないが、それよりも優先させた新戦力の発掘や選手の成長といった部分でも先述したコメントから大きな成果を得られなかったことがうかがえる。  とはいえ、今回の初招集、再招集組は伸び代の大きい若い選手が多い。ワールドカップ本大会まで1年となったが、今回の経験をきっかけに選手として大化けする可能性はある。  選手として成長するためには、よりレベルの高いチームでレギュラー争いをしつつ、常にレベルの高い相手と対戦して実戦経験を積むことが最も近道になるといえる。そうなると移籍が不可欠で、ヨーロッパのオフシーズンで移籍期間でもあるこの3カ月間が命運を握っている。

環境を変えることには“大きなリスク”もつきもの

 三笘薫や久保建英にはキャリアアップとなりそうな移籍のうわさがあり、UEFAチャンピオンズリーグで優勝を狙えるようなトップクラスのクラブに移籍することで、さらに大きく成長して本大会に臨める可能性がある。しかし、移籍先でうまく馴染めずに出場機会を得られなかった場合は成長どころか、調子を崩した状態で本大会に挑まなければならないというリスクも十分に考えられる。  選手にとってワールドカップがすべてではないが、自身のキャリアの中でも重要視する選手は多い。活躍すればその後のキャリア形成を大きく飛躍させるからという理由もあるが、今では自身の夢や誇りのためと強い思いで挑むほうが多くなったように感じる。一昔前のワールドカップは選手の品評会という側面もあったが、情報技術が急速に発達したこともあり各クラブのスカウトらがワールドカップで新たな選手を見つけるということは少なくなったという事実も影響している。そういった背景もあり、以前はワールドカップ後の移籍市場ではビッグディールがよくあったが、現在では少なくなっている。  また、ヨーロッパのビッグクラブを中心とした最近の傾向では、30歳以上の新たな選手を獲得することが稀になっている。ゆえに、短い選手寿命の中でキャリアアップするため、リスクがあるとわかっていても移籍を決断する場合もあるだろう。
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“最高峰のクラブ”に所属するのは3人のみ
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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