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早稲田大学在学中にデビューしたセクシー女優の過去。“優等生の仮面”をかぶって「自分をほったらかしにしていた」

―[神野藍]―
 早稲田大学在学中に「渡辺まお」の名前でセクシー女優デビューし、引退してから約3年。現在は文筆家として活動する「神野藍」が、初の著書『私をほどく〜 AV女優「渡辺まお」回顧録〜』(KKベストセラーズ)を上梓した。これはWebメディア「BEST TiMES」で連載した全50編のエッセイを加筆修正し、書き下ろし原稿を加えたものだ。  彼女はどんな思いで「私」をほどいてきたのか、話を聞いた。

初の著書の発売日、神野藍が「絶望」した理由

神野藍

文筆家の神野藍(25歳)

 金色のボブに、ショート丈のトップス。黒髪だった「渡辺まお」時代とは、ガラリと雰囲気が異なる出で立ちでこの日、神野は現れた。 「久々に髪を染めたら、変なDMも減って(笑)。少し前には、タトゥーも入れたことを書いたんですけど、好きな自分でいる方がこんなに生きやすいんだって発見して、めっちゃラクですね」  初の自著が発売された感想について聞くと、満面の笑みで神野は語る。 「Webで連載しているときも達成感がありましたが、いざ本という“モノ”となって手元に届くと、その達成感は格別でした」  発売日には心踊らせながら、書店に向かった。 「女優時代からここまでの計5年間、いろいろと浮き沈みがあったわけですが、そんな日々も『今日で報われるな』と強く思っていました。でも、書店で棚に並ぶ自分の本を見たとき、ひとつの絶望を覚えました。『ああ〜そういうことね』って」  書き手にとって、自分の本が発売される日は特別な日。それが初の著書となれば、なおのことだ。しかし、なぜそこで神野は「絶望」を感じたのか。 「書店にはジャンルごとにさまざまな棚がありますが、この本はエッセイの棚に置いてあると思っていたんです。でも、あえて言葉を選ばずに言うと、『イロモノ系』の棚にあったんですよね。  これまでセクシー女優という枠組みに簡単に収まりたくない一心で、過去の出来事や現役時代の話を綴っていたんですが、いざ本になるとこうやって、また同じ枠に入れられる。別にエロいことは書いていないし、“ヌキドコロ”なんて一切ないのに(苦笑)。  結局、自分って枠から飛び出せなかったんだな、と思いましたが、落ち込むというより、なんだか楽しくなっちゃって」  もちろん、神野とて「イロモノ系」自体の是非を問うわけではない。それでも同じ棚に並ベられるのは本意でなかった。 「ここで諦めたら終わりだなって。そういう意味でこの本は、“区切り”であると同時に神野藍としての“始まり”だと思いますね」

パソコンの前で涙でぐちゃぐちゃに。「書くことは発散で“許し”につながる」

 本書の元となったエッセイは、「BEST TiMES」で2023年5月から1年間にわたり連載されていたもの。更新頻度は週1回。書き手にもよるが、かなりのハイペースな更新頻度といえる。 「連載の原稿を提出するのは、毎週木曜日。週末こそ解放感がありましたが、日曜の夜になれば『次はなにを書こうかな』と構想を練り始める……そんなサイクルを気づけば1年間、続けていました。おかげで“考える体力”はついたと思います」 <初めの頃は、涙でぐちゃぐちゃになり、視界がぼやけて書けなくなくなってしまうことがよくあった>(P167)と本書で記されているとおり、執筆時は常に自己の内面と向き合っていた。 「思い返せば、執筆中はパソコンの前で泣いてしまうこともあったし、思い出したくない内容もありました。でも書くことはやめられなかった。  書くことは、発散ですね。苦しい気持ちをそのまま吐き出しているし、書き終わると、それまで見えてこなかった自分が見えてきて、たいぶ呼吸がしやすくなる。それが積み重なっていくことが、自分にとっての“許し”につながっています。その繰り返しですね」
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優等生でいい子ちゃん。でも自分は「ほったらかし」にしていた
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週刊SPA!をはじめエンタメからビジネスまで執筆。Twitter :@AkeMin_desu

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私をほどく~ AV女優「渡辺まお」回顧録~ 私をほどく~ AV女優「渡辺まお」回顧録~

早稲田大学在学中にAV女優「渡辺まお」としてデビューし、人気を一世風靡する。ホス狂い、身バレ、ストーカー、死の予感…。現役を引退し、「神野藍」として活動。AV女優時代の「私」を赤裸々に綴った衝撃のエッセイ。魂の叫びに感涙必至。