「明らかに熱中症でした」川田将雅騎手の発言が波紋…競馬“真夏開催”に浮上した深刻なリスク。ファンからは「馬死ぬぞ」の声も
「明らかに熱中症でした」
わずか一言。だが、普段から敗戦後は多くを語らない川田将雅騎手だけに、その言葉は重かった。

7月26日に中京競馬場で行われた東海Sは、伏兵マテンロウコマンドが勝利を飾った一方、2番人気のダノンフィーゴは中団付近から伸びを欠き、10着に敗れた。
ダノンフィーゴに騎乗した川田騎手はレース後、敗因について「明らかに熱中症でした」と説明。距離や展開ではなく、暑さによる影響を指摘したのである。
また、3番人気のドラゴンテイラーも最下位の14着に敗れ、鞍上の坂井瑠星騎手は「暑さの影響ですかね。全く進まなかったです」と振り返っている。
ダノンフィーゴについて川田騎手は熱中症と述べ、ドラゴンテイラーについては坂井騎手が暑さの影響を示唆した。同じ意味ではないものの、有力馬2頭の鞍上から厳しい暑さへの言及が続いた事実は無視できない。
もちろん、今回の東海Sだけで真夏開催の是非を断定するのは早計だ。他の12頭はレースを走り終えており、2頭の大敗に別の要因が絡んだ可能性も残る。
それでも、単なる個別の敗因として処理するには、示唆の大きいコメントが続いたのも事実である。
東海Sの発走は午後3時35分だった。中京競馬では第5レース終了後に約3時間の休止時間を設け、暑さの厳しい時間帯を避ける対策が取られていた。
しかし、時計の針を進めただけで暑さが消えるはずもない。午後3時台は「昼より少し遅い時間」であって、涼しい時間帯とは言い難い。
問題は暑熱対策の有無だけではない。真夏の本州開催を続ける前提そのものも、あらためて問われている。
競走馬は全身の筋肉を使って高速で走り、体内に大量の熱を生む。高温多湿の環境では発汗による放熱が難しくなり、暑熱による負担も増す。
暑さへの適応も競走能力の一部だ、という見方はあるだろう。道悪への巧拙や長距離輸送への耐性と同じく、環境への対応力も競馬の一部ではある。
それでも、暑熱リスクが能力比較を上回って前面に出るなら話は別だ。馬は開催場所も発走時刻も選べず、決められた環境で全力疾走する立場にある。
川田騎手のコメントが伝わると、ファンからは「開催したいなら函館、札幌の2場開催だけでいい。馬死ぬぞ」「こうなると予想もクソもないよね」といった声も上がった。
言葉は荒い。だが、単なる馬券の当たり外れを超えて、競馬の前提そのものへの不信がにじむ。
競馬ファンは調教、枠順、展開、馬場状態を比較し、各馬が能力を発揮することを前提に予想する。外から見えにくい暑熱への耐性が過度に結果を左右するなら、競馬として何を競わせているのかという根本にも関わってくるだろう。
一方で、「スタート前に分かっていたなら除外すべきだった」と、川田騎手や陣営の判断を疑問視する声もあった。
ただし、現時点で確認できるのは川田騎手のレース後コメントまでだ。獣医師による正式診断の有無、症状が表れたタイミング、その後の経過は、公表ベースでは明らかになっていない。
したがって、「異変に気づいていたのに走らせた」と川田騎手や陣営を断定的に責めるのは適切ではない。問題を個人の判断だけに還元すれば、開催設計という本質がぼやける。

川田将雅騎手
写真/橋本健
真夏開催で浮かび上がった「暑さ」というリスク
ファンからは「馬死ぬぞ」の声も…
「走らせた判断」を責める前に考えるべき問題
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競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。
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