最近は、特典を次々と替え、何度も足を運ばせる作品が増えた。ファンの「推したい」という気持ちを利用した商売だという批判もあるが、僕は特典商法そのものは悪くないと思う。自分の一回が興行収入を押し上げ、作品の記録や次回作につながる。それを喜ぶのも推し方の一つだ。
ただし、そこには条件がある。「映画が面白いこと」だ。面白くない映画が、グッズだけを替えて客を引っ張り続けるのは胸が痛い。だが、面白い映画なら2度目、3度目には新しい発見がある。
結末を知って見る『ちいかわ』は、きっと1度目と違う顔を見せる。『THE FIRST SLAM DUNK』『鬼滅の刃』『ONE PIECE FILM RED』も、作品自体に繰り返し見させる力があった。特典が再観賞の入り口になるなら、大賛成だ。
問題は特典ではない。特典の力が、映画の力を超えることだ。作品が主役で、特典はもう一度会いに行く理由。その順番さえ間違えなければいいと僕は思う。入り口がグッズでも、出口で作品をもっと好きになっていれば、それは十分健全なヒットだ。そして『ちいかわ』には、劇場の空気を変える力があった。
この映画の大ヒットにより、「ちいかわ」のステージがポケモンなみになっていく気がする。あのチャームやシールを、映画を見た記憶と一緒に持ち帰ること、それこそが転売では得られない価値なのだ。