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「ちいかわハッピーセット」わずか3日で販売終了…“転売ヤーは違法じゃない”に感じるモヤモヤの正体

マクドナルド「ちいかわハッピーセット」わずか3日で販売終了

マクドナルド

Colin Temple – stock.adobe.com

 マクドナルドの「ちいかわハッピーセット」がわずか3日で販売終了となりました。予想を上回る売れ行きの原因とされているのが、おまけのおもちゃを狙った転売ヤーによるフリマサイトへの出品行為です。  法律の専門家によると、そうした行為は違法ではないとのことですが、ネット上では組織的な大量の買い占めに“最低じゃん”と、憤る声も多くあがっています。 「ちいかわ」大好きな子どもたちの思いが、またしても踏みにじられた格好です。  このように、転売ヤーによる騒動が起きると、法律の専門家が“違法ではない”とのコメントを出しては世間がモヤモヤするという光景が繰り返されています。一般市民の感覚としては、法律的には問題なかったとしてもやっぱり納得いかない、というのが正直な感想なのだと思います。  法律のおとがめがなければ何をしてもいいのだろうか? この消化不良への明確な解答がないところに、転売ヤー問題の難しさがあるのでしょう。

転売ヤーは“違法ではない”から良いのか?

 というわけで、ここでは法律の技術論から離れて、古典的な思想からこの問題を考えるヒントを得ようと思います。  まず、転売ヤーへの反感の根っこにあるのが、抜け道を見つけて荒稼ぎするライフハック的な発想への疑問なのではないでしょうか。法的には問題がないという事実が商行為の正当性を認めてしまうところに法律万能主義の欠陥があらわれていることに、社会が気づきつつあるわけですね。  では、法に頼りすぎる社会は何が問題なのでしょうか? それを古代中国の思想家、孔子はこう語っています。 <子曰く、之を道くに政を以てし、之を斉ふるに刑を以てすれば、民免れて恥無し。之を道くに徳を以てし、之を斉うるに礼を以てすれば、恥有りて且つ格し。>  法律や刑罰だけの社会では、人は法律さえ守っていれば何をしてもいいと、恥じらいを忘れる落とし穴にハマっていくと警鐘を鳴らしています。  つまり、法律や刑罰という制度上のルールの他に、自分自身の見識や美的感覚にもとづいた振る舞いがなければ社会は成り立たないと言っているのです。
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“違法ではないから転売してもOK”という考えがあらわすもの
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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