更新日:2026年09月11日 19:13
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ICC所長制裁で露わになった「不都合な真実」。日本が何も言えない理由とは

8月18日、米国は国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長を制裁対象者リストに追加した。日本人として初めてICCのトップに立った人物が、一枚の指定書で資産を凍結される。だがここで見えたのは、制裁そのものの恐ろしさだけではない。 それは、日本がアメリカの意向にはまったく逆らうことができないという現実だ。そして、米系テック企業のサービスに依存する日本社会は、もはや植民地をも越えた宗主国に逆らうことのできない醜態をさらすに到っている。
国際刑事裁判所(ICC)

オランダのハーグにある国際刑事裁判所(ICC)の本部。SARATSTOCK – stock.adobe.com

主権とは、規制する権利のことではない

なぜ、ここまで日本はアメリカに支配されてしまったのか。それを説明するために日本という国を、一軒の家に例えてみよう。家の登記簿には、確かに日本の名前が書いてある。誰の持ち物かは疑いようがない。 だが、玄関の鍵は外国企業製だ。配電盤も外国企業製。金庫も、地図も、電話も、みな外国企業製だ。そして「気に入らないから交換します」と言おうとすると、鍵一本を替える話では済まない。家中の配線と設備まで入れ替えるほどの時間と金がかかる。 登記簿上は自分の家なのに、自分では鍵を交換できない。これが、いまの日本の立ち位置に近い。日本は、規制する権限は持っている。グーグルに規制はかけられる。メタに命令もできる。マイクロソフトに文句も言える。だが、規制できることと、手放せることは別の話だ。 「グーグルにNOと言った翌日、行政や企業活動は今まで通り続けられるのか」 「AWSにNOと言った翌日、行政システムは動くのか」 この問いに即答できないなら、規制権限がどれだけあっても、それは本物の主権とは呼べない。 少なくともデジタル主権について言えば、相手を失っても生きていける能力がなければ意味がない。NOと言った翌日も、社会がふつうに動く能力のことだ。命令はできるが逃げ場がない、という状態は、支配されているとイコールだ。

これは、仮定の話ではない

2025年4月15日、AWSの東京リージョンで大規模な障害が発生した。特定のアベイラビリティゾーンでEC2インスタンスの接続障害が起き、約1時間にわたって影響が続いた。デジタル庁は取材に対し、「ガバメントクラウドにも一定の影響はあった」と認めている。バックアップ体制が整っていたシステムの多くは持ちこたえた。だがそれは裏返せば、冗長化の設計次第では行政サービス側に障害が波及しうる、ということでもある。 制裁でなくてもいい。一民間企業の設備トラブルひとつが、この国の行政機能にまで波及しうる。日本人が意識していないだけで、この国はすでに一度、その淵を覗いている。
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逃げ道を作った国、代償を払った国
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ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』

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