「銀河連邦」加盟6“共和国”における、「はやぶさの日」への取り組み
6月13日を「はやぶさの日」と決めた「銀河連邦」。その実体は神奈川県相模市などを中心に宇宙航研究開発機構の施設がある全国6自治体でつくられた友好都市関係のことだった。
そんな「はやぶさの日」を祝うべく、銀河連邦の各加盟国はどのようなイベントを準備しているのか? 各加盟国の様子を追った!
※「銀河連邦」の詳細はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/229651
6月13日を「はやぶさの日」と制定した「銀河連邦」ってなんだ?
◆日本の宇宙開発最前線 サガミハラ共和国 (神奈川県相模原市)
銀河連邦旗揚げの中心となった、いわば宗主国であるサガミハラ共和国(相模原市)。JAXA相模原キャンパスがあり、日本の宇宙科学の研究拠点として知られる。6月13日はやぶさの日には同キャンパスで、はやぶさチームを率いた川口淳一郎教授らが参加する記念イベントが開催される予定だという。
「銀河連邦特産品ショップ」に加盟する酒販業の男性によると、当日はJAXA相模原キャンパスの最寄り駅である、淵野辺駅周辺で、商店街と連動したセールなども開催されるという。
◆銀河連邦で唯一の被災地 サンリクオオフナト共和国(岩手県大船渡市)
大気球を用いた観測を中心に、宇宙関連の実験を行う三陸大気球観測所、1970年から2001年まで開設され、長年日本の宇宙研究を支えた「気象ロケット観測所」を擁するサンリクオオフナト共和国。東日本大震災の傷跡も癒えない中とはいうものの、連邦加盟国としてはやぶさの日を祝うイベントは行う予定だという。
「6月13日に大船渡市民文化会館・リアスホールで上映会とパネルの展示を行います。大変な時期なので規模が小さいイベントしか開催できませんが、映画もパネル展示も無料なので、少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。」(大船渡市職員)
震災後の救援活動などで、より強くなったという連邦加盟国間の連携。これからは観光、経済の面でも積極的に協力する方針を固めている。「今は復興作業に追われているが、来年、はやぶさ2の打上げが予定されている2014年にはもう少し盛り上げたい」と語ってくれた。
◆ 銀河連邦最北の町 タイキ共和国(北海道広尾郡大樹町)
銀河連邦最北の地に位置するタイキ共和国。冬場は氷点下10度から20度以下の冷え込みが続く。タイキ町は、JAXAの各種実験を行う「大樹航空宇宙実験場」を擁する大樹町多目的航空公園がある。
「銀河連邦から通達が届きましたが、準備期間が短かったせいもあり大規模なイベントは予定していません。まだ商店街と連動するなどもありませんし、施設もあまり一般市民に大きく公開しておらず平日なので、盛上がりは相模原市ほどではありません」(大樹町役場企画課)というように、最北の地ゆえに連邦の伝達がやや遅れたようだが、「来年以降は地元小学生と作っている『大樹宇宙少年団』と一緒に関連イベントを開催したいと思っています」(同)というので来年は盛り上がるはずだ!
◆ 山中に佇む巨大パラボラアンテ サク共和国(長野県佐久市)
’84年より長野県の南佐久郡臼田町(2005年4月1日より佐久市)に設立された臼田宇宙空間観測所を擁するサク共和国。施設の中核となっているのは、主鏡面が総重量1980トン、直径64メートルの反射鏡となっている大型パラボラアンテナで実に銀河連邦の名に相応しい施設だ。
深宇宙探査機の追跡管制を目的として設けられた大型アンテナは、海外でもアメリカのNASA、ヨーロッパのESAとロシアのIKIが保有するのみ。深宇宙探査の窓口の一つとして、世界からも期待を集めている。都市雑音などの「妨害電波が少ない場所」の条件が適切であったため、サク共和国(佐久市)が選ばれたのだという。
同共和国では、「佐久市子ども未来館」では、6月13日「はやぶさの日」当日に合わせて映像上映や企画展を開催するほか、来館者に記念品を配るといったイベントを企画中だ。
◆ アマチュアも集うロケット実験場 ノシロ共和国(秋田県能代市)
JAXAの実験施設「能代ロケット実験場」を擁するノシロ共和国。’05年からは毎年、国内最大規模のロケット打上及び自律ロボット制御のアマチュア大会「能代宇宙イベント」(2012年の一般公開日は8月19日)を開催するなど、積極的に宇宙・科学関連の取組みを行っている。さすがは連邦加盟国である。
6月13日のはやぶさの日にあわせ、「能代市子ども館」で、はやぶさ映画の上映とパネル展を企画しているという。「はやぶさは子どもより、大人のお客さんのウケが良いですね。今回は映画の無料上映とパネルの展示を行う予定です。ロケットや衛星の実物も展示しています」(能代市子ども館)
◆次のロケット発射は7月10日 ウチノウラキモツキ共和国(鹿児島県肝付町)
ウチノウラキモツキ共和国にある「内之浦宇宙空間観測所」は、はやぶさの打ち上げも行われた、国内ロケット打ち上げ上の中心施設。種子島宇宙センターと並ぶ、宇宙開発の最前線だ。6月13日には内之浦宇宙空間観測所の見学者に数量限定の銀河連邦グッズの抽選会などを行うという。
「7月10日にもロケットを打ち上げる予定なのですが、それを目当てに来る方もいらっしゃいますね。実際のロケットの部品やロケット格納庫も迫力があります。田舎なので気軽にこれないかもしれませんが、一度遊びに来て欲しいです。」(宇宙科学資料館職員)
「はやぶさの日はニュースで聞いてしっていましたが、急で情報も少なかったので特にイベントなどを企画できませんでした。来年からは盛り上がると良いですね」(ホテル業)
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急遽制定されたために通達が遅れ、今年中のイベントについては連邦加盟国内でも対応に差があるようだが来年以降にはそれぞれ意気込みを語ってくれた銀河連邦加盟国の皆さん。
2014年の打上げ、2020年の帰還予定の「はやぶさ2プロジェクト」が完了するまでに、銀河連邦の「6月13日・はやぶさの日」はどこまで定着するのか。各自治体、もとい「共和国」の、ユニークな取組みや連携も併せて、今後も注目していきたい。 <取材・文/近藤智大 画像提供/JAXA>
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