【イチロー】史上最強のライパチ君デビュー!
電撃のトレード発表からわずか3時間後――。
NANO編集部>
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慣れ親しんだシアトル、セーフコフィールドのライトの定位置に向かったのは、いつもより「20」若返った、背番号「31」のイチローだった。
今日から始まるシアトルでのヤンキース3連戦の初戦前に、電撃トレードを発表するあたり、流石はヤンキース、そして千両役者イチローだ。
4日後に開幕するロンドン五輪から、ファンの意識をMLBに引きつけるには十分過ぎるインパクトを残した記者会見だった。
イチローの記者会見が行われたあの時間は、ホームチーム、マリナーズの打撃練習中だった。つまり、マリナーズのチーム関係者はほぼ全員、グラウンドにいる時間である。
渡米から11年半の長きに渡り、自分を育ててくれた“古巣シアトル”のチームメイト、及び球団関係者へ無礼がないように、実にスムーズな段取りで記者会見は行われた。
イチローのヤンキースデビューはセンセーショナルなセンター前ヒット、そして二盗から始まった。
ヤンキース先発の黒田は、イチローをバックに粘投を続け、今日もナイスピッチング。大家友和の持つ日本人メジャー通算歴代2位に並ぶ「51」勝目を挙げた。
シアトルでの11年半、イチローの打順は1番、2番、3番のいずれかでしかなかった。
守備位置にしても然り。
「エリア51」と呼ばれたライトの定位置はイチローのための舞台で、ごく稀に、DHやセンターでの出場はあったにせよ、ほとんどは1番ライト、あるいは3番ライト、でのスタメンを約束されていた。
野球人生の新たな局面を迎えるヤンキースでは、そうはいかないだろう。1番ジーター、2番グランダーソンは共にオールスターのスタメンプレイヤーだ。
新たなホーム、ヤンキースタジアムでは、レフトの守備に就くことも多々あろう。伝統的に広い谷間のある左中間で、イチローは新たな存在感を示すことができるのか。
現在のMLB30球団で唯一、勝率6割を超えている最強集団ヤンキースでの、イチローのスタートは、日本だったらミソッカスの8番ライト、ライパチ君から始まった。
さぁ行け、イチロー!
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