他人ごとではない[ママ友地獄]の世界
― ドラマより怖い![ママ友地獄]の阿鼻叫喚【1】 ―
ママ友地獄を描いたドラマ『名前をなくした女神』が話題を呼んだが、調べてみると決してデフォルメではないことがわかった。旦那が働くさなか繰り広げられる、ママ友間の陰湿な人間模様とは?
【他人ごとではないママ友地獄の世界】
◆次第に常軌を逸していったサイコ・ママ
「今思えば、なんか感情の起伏が激しいママだなとは思っていたんですけどねぇ……」。河本恵美さん(仮名・35歳)は、サイコなママ友・A子さんとの出会いをこう振り返る。
「A子とは長女の3か月健診で知り合いました。私は夫の転勤で縁もゆかりもない東京郊外に来たばかりで、彼女が初のママ友。週2回は会う間柄になりました」
恵美さんがA子さんに違和感を抱きだしたのは、出会って1年後。
「だんだん遠慮がなくなり、『ちょっと出かけたいから車出してくれる~?』とか要求が多くなって、『今から会わない?』と突然家に押しかけてきたり。会っても一方的に自分の話ばかりで会話にならないんですよ。それにA子は自分の知らないところで私がほかのママ友と会うのをすごく嫌がって。焼きもちだったんでしょうかね」
そんなある日、近所の公園で信じがたい光景を目にする。
「A子の子とほかの子がちょっと掴み合いになったとき。A子が相手の3歳児の胸ぐらを掴んでゆさゆさ揺らしてバーン!と突き飛ばして、尻もちつかしちゃって……」
恐怖を感じた恵美さんは、A子さんを誘う頻度を減らし、徐々にフェードアウト。そして事件は起きた。
「ある朝、外に出るとウチの車にタマゴが投げつけられていたんです。ほかにも、タイヤがパンクしてたり、シャッターにヘンな落書きや敷地内に生ごみとかガラスがばら撒かれたり。しばらくして、A子について『おかしいよね』と言い合って距離を置いていたほかのママ友3人も次々同じ被害に遭うように……。もうこれはA子に違いないだろうと。主人も不気味な被害にずっと怯えていたし、娘にまで危害が及んだら、と心配していたので、家を売却して引っ越しました」
現在は都心に暮らす恵美さん。
あの一件で得た教訓は、「ママ友はあくまでも子供のママで、子供同士が仲がいいからといってママ同士が仲良くなる必要はない」。
「今は、保護者会でママ友と会うことがあっても挨拶する程度の距離にとどめています」
イラスト/清野とおる
◆関連書籍 『名前をなくした女神 (扶桑社文庫)』 ドラマを完全ノベライズ |
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