日ハムも続け!SFジャイアンツを救った「twitter力」
日本シリーズ真っ只中の10月29日、メジャーリーグでは名門サンフランシスコ・ジャイアンツがデトロイト・タイガースを4勝0敗で圧倒し、2年振り7度目のワールドシリーズ制覇を達成した。
ジャイアンツの勝因は、何といっても投手力。第2、3戦の連続完封を含め、ワールドシリーズ全4試合の総失点はわずか6点。ひと試合平均1.5点に抑えた投手力が「モメンタム=流れ」を呼び込んだ。
しかし世界一への道のりは、厳しいものだった。
ペナントレースは94勝、地区2位に5ゲーム差でナ・リーグ西地区優勝を果たしたジャイアンツは、プレーオフ最初の地区シリーズ(3勝勝ち上がり)でレッズ相手に2連敗。第3戦から3連勝で辛くも勝ち上がったものの、続くリーグ優勝シリーズ(4勝勝ち上がり)でも大苦戦。
“昨年王者”カージナルズ対“一昨年王者”ジャイアンツという史上初の好カードは、第4戦を終わってジャイアンツの1勝3敗。いよいよ後がない崖っぷちの第5戦、チームを後押しする新たなパワーが「ソーシャルメディア」から沸き上がった。
第5戦の先発はベテラン左腕バリー・ジート。若き頃は、隣町オークランドのエースとして君臨。デビュー間もないイチローらを苦しめた好投手だったが、ジャイアンツ移籍後は振るわず「史上最低の不良債権」などと揶揄され続けてきた。
しかしITの聖地シリコンバレーにほど近いサンフランシスコ・オークランドに縁の深いジートは、今なお根強いファンを多く持つ。本名のバリー・ジトをもじった #RallyZito (ジート頑張れ!)のハッシュタグが、本人の寝てる間にツイッター上で静かな声援となって広がり、試合前には西海岸のトレンドとなっていたのだ。
この動きをいち早く察した球団のソーシャルメディア担当は、「人気上昇の#RallyZitoをオフィシャルハッシュタグに加えます」とツイート。するとジートを応援するソーシャルな動きは、次第に西海岸から全米へと拡散しだした。
NANO編集部>
海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。「日刊SPA!」ではメジャー(MLB)・プロ野球(NPB)に関するコラム・速報記事を担当
試合がはじまると、殿堂メンバーにして球団大使のオーランド・セぺダ氏(74)が「#RallyZitoってつぶやけと言われた」と自身のアカウントでツイート。
スポーツ専門局ESPNは「今日のジートが今のところ無失点なのは、#RallyZitoが全米中のトレンドになっているからだろう」と追い風のツイート。
ジートの好投でジャイアンツが崖っぷちの勝利を決めると、ツイッター上では「#RallyZito」がワールドワイド・トレンドにランクイン!、そして程なくトップに!
縁起を担いだジャイアンツのソーシャルメディア担当は、負けたら終わりは変わらない状況にも関わらず、第6戦:#RallyVogey (頑張れボーグルソン)、第7戦:#RallyCain(頑張れケイン)と先発投手へのエールをオフィシャルタグで活用した。
その結果、1勝3敗からの3連勝でワールドシリーズ進出を決め、ワールドシリーズでも4連勝。もちろんワールドシリーズ中も、全4戦の先発投手をツイッター上のタグで応援し続けたのは言うまでもない。
「崖っぷちからの7連勝で世界一」を後押ししたソーシャルメディアの力。
現在日本シリーズで劣勢を強いられている、日本ハム球団の皆さんも参考にされてはいかがでしょうか?
<取材・文/ハッシュタグ