スポーツ

スポーツを「数字」の視点で読み解くこの1冊

 忘年会シーズンも終わって、世間の動きはひと段落。慌ただしさの中にも多少のゆとりを感じる年末年始は読書にうってつけ。前回紹介した「スポーツの醍醐味を知るこの1冊【チーム・組織編】」(https://nikkan-spa.jp/358281)に続いては、スポーツにつきものの「数字」を読み解く1冊をスポーツライターの小野寺俊明氏に紹介してもらった。  大分トリニータがJ1昇格の条件に、Jリーグからの借入金6億円を完済したことや、企業スポーツの名門パナソニックが経営不振を理由にバスケットボール部やバトミントン部を休部したことが大きく報じられるなど、スポーツと経営、そしてお金は切っても切れない間柄。スポーツを「数字」の視点で読む本やマンガ、はたまた「値札」を巡る買い物心理までをサクッと、かつ深く知る3冊を……。 ・『僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ』 天野春果著 小学館刊 <想定読破時間:3時間>
『僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ』

『僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ』

 斬新な企画を打ち出す川崎フロンターレ。その中心、プロモーション部長の天野氏の著書。サブタイトルは「スポーツでこの国を変えるために」。閑古鳥が鳴くスタジアムを満員にし、地域に愛されるチームを作るためのノウハウが書かれている。「エスキモーに氷を売る」に代わる、新時代のスポーツビジネスバイブルの登場だ。 ・『グラゼニ』(1~8巻) 原作:森高夕次 漫画:アダチケイジ  講談社刊 <想定読破時間:1冊あたり30分>
『グラゼニ』

『グラゼニ』

『週刊モーニング』で現在連載中の人気マンガ。タイトルは「グラウンドには銭が落ちている」の略。26歳、年俸1,800万円の中継ぎ投手が主役。話のメインはズバリ、プロ野球界のお金について。年俸という分かりやすい指標によって格付けされる、シビアなプロ選手の裏事情が描かれている。野球を知らずとも楽しめる。 ・『お買い物の経済心理学』 徳田賢二著 ちくま新書刊 <想定読破時間:2時間>
『お買い物の経済心理学』

『お買い物の経済心理学』

 なにかと出費のかさむ年末年始に必読の一冊。吉野家とタリーズコーヒーの庶民的なストーリーが面白い。ややもするとコンビニ依存タイプのSPA!世代は、買い手と売り手の思惑が交錯する「値札」のドラマを経験せず大人になってしまうことに改めて気付くかも。国際舞台での競争力や日本の未来の消費行動を考えるうえで、大きな気付きを与えてくれる名著。 【選者:小野寺俊明氏】 スポーツライター&株式会社スポーツ企画工房 代表取締役。 スポーツ団体、選手、放送局のWebサイトやSNS戦略をプロデュース。スポーツライター、プロバス「bjリーグ」のPRマネージャーも兼務。中央大学の客員講師として、スポーツとWebをテーマに教壇に立った。 http://bylines.news.yahoo.co.jp/onoderatoshiaki/ <取材・文・撮影/NANO編集部> 海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。「日刊SPA!」ではメジャー(MLB)・プロ野球(NPB)に関するコラム・速報記事を担当
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