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スポーツ実況&報道の不満を制作者にぶつけてみた

 2014年のブラジルワールドカップ出場が決まり、2020年には東京五輪の開催が決定。国内に目を向けるとプロ野球は10/12よりCSがスタート。Jリーグも首位争いが佳境に入り、スポーツの秋を表すように国内のスポーツは今、絶好調の盛り上がりを見せている。だが、そんな盛り上がりをよそにスポーツの中継や報道に対して不満を持つファンは多い。今回はそんなファンの声とその声に対する各界の意見を伺ってみた。

◆名前の連呼と絶叫だけ

「やたらと名前を連呼するだけだったり、絶叫するだけのサッカー中継にうんざりしています。特に代表戦の地上波。例えば『本田、本田、香川、本田、柿谷……』とか。CS放送なんかでJリーグの中継を見ていると『ボールを奪って●●がサイドに展開、中には1枚、2枚。逆サイドから××が上がってきた!』みたいに、ちゃんと展開を実況してくれる。日本代表の試合解説でやたらと絶叫するだけの松木さんなんかでも、JリーグやACLの解説で出てくると、とてもわかりやすく面白いと思うんですが……」(30代のサッカーファン男性)

 これについて在京テレビの制作会社で働くディレクターに話を聞いてみた。

「Jリーグの番組製作や実況を担当しているのは多くが地方局です。地方局は実況のアナウンサーが非開催日の練習に赴いて選手にも取材したり、ローカルのチーム応援番組も作ります。だから、選手の特性やゲームプランに詳しいんです。その差が出ていると思います。静かな解説がいいという声があるのも知っています。ですが、松木さんのような“名物解説”は言うなれば“賑やかし”の意味が強い。試しに音を絞ってスポーツを見てみると、なんとも味気ないものになるはずです。また、スポンサーから『●●さんを解説で』という要望があるのも事実で、制作が好きで呼んでるわけでもないのです。また、名前だけをやたらと連呼するのはいかがなものか?というご意見ですが、こうした実況のスタイルは、突き詰めればそのアナウンサーの個性という話になります。また、実況スタイルには流行りがあって、そのスタイルを取り入れたものだったりもしますね。確かに欧米と比べて日本のサッカー実況はまだまだ手探りで、展開をうまく実況することができる方が少ないのも事実だと思います」

◆「●●2世」や「△△のイチロー」とか、いいかげんヤメたら?

「高校野球などのアマチュア、助っ人などに対してよく『松井2世』とか『●●のイチロー』って表現がされるんですが、これってすごく失礼な表現だと思います。だって、彼らは彼らだし、個性もそれぞれだと思う。伝える側の思考停止、手抜きとすら思えます。それにこういう表現されて大成した選手ってすごく少ないと思うんだけど、気のせいでしょうか。僕は中日ファンなのですが、昔、韓国のイチローと呼ばれた李鍾範という選手がいたのですが、さっぱりでした」(30代の野球ファン男性)

 こちらの不満をスポーツ紙記者にぶつけてみた。

「耳が痛いですね。結局、●●二世や△△のイチローというのは、読者がその選手の想像をしやすくするためなんですね。松井のようなパワーヒッター、イチローのような俊足巧打という意味で使われることが多いんです。言われた選手のその後ですか……う~~~~~ん、ちょっとそこまでは……」

◆誤審を誤審と言わない

「サッカーも野球もスロー再生して見れば、誤審か否かがわかるはず。なのに、『う~ん、これはちょっとセーフじゃないですね』とか『映像で見るとラインを割ってないように見えますが……』と歯切れが悪い。海外では審判を名指しで批判することもあって、それが審判のレベル向上に繋がっているとも言われている。馴れ合いは発展の妨げになるように思えてならない」(30代のスポーツ好き男性)

スポーツ実況

8月23日の中日×阪神戦では、捕球を巡り誤審か否かで和田監督が退場に。判定にビデオの導入を求める声もあるが……

 こちらのご意見について野球もサッカーも実況をこなす現役の地方局のアナウンサーに話を聞いた。

「微妙な判定について言っちゃダメというルールはないよ。ただ、ジャッジするのは審判だから我々が下されたジャッジに対して主観を述べる立場にないんです。解説者が言うのは、解説の一部だから。それに対して我々(実況のアナウンサー)が乗っかることはあるかな。ただ我々主導で誤審をどうこうは言わない。結局、審判も人間という側面があるわけじゃないですか。例えば盗塁のアウトセーフもタイミングがアウトでも選手がスライディングの技術でセーフに見えるような工夫をしていたり。明らかな誤審でないにしても選手サイドの見せ方は否定できないもんです。そう考えると明らかな誤審かどうかはどこで線を引くって話にもなったりするので、あえてそこに踏み込むのはどうかと」

 視聴者や読者と制作者、それぞれの言い分があるのは当然のこと。お互いが気持ちよくスポーツに対して真摯に向き合えれば一番幸せだろう。では、最後に集まった声を紹介しておこう。

「よく、サッカーの移籍情報なんかで『地元紙によれば~』ってのを目にするんだけど、外国とはいえ、よその新聞記事をネタにするっていい加減だと思う」

「OB解説者が贔屓めな解説をするのはいいんだけど、せめて敵チームであっても選手の成績やスタイル、名前くらいは勉強しとけ」

「野球にしてもサッカーにしても、中継にタレントは呼ばなくていいよ」

「関西出身で目立った成績を残すとすぐに『虎の恋人』になるのはどうかと思う」

 スポーツには一家言アリ!という方は多く、こだわりが多いのも頷ける。まぁ、こういった愚痴を言いながらワイワイみんなでスポーツ観戦というのも楽しかったりすることもあるだろう。今回、いろいろな話を聞いて、日本人はスポーツが大好きなんだと改めて思ったのであった。 <取材・文/SPA!スポーツ観戦隊>




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