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意味のあるワースト記録と、ただのワースト記録の違いとは?

バレンティンの本塁打、マー君の連勝など、新記録で盛り上がったプロ野球。しかし、スポーツの世界には逆の意味ですごい「ワースト記録」がある。作家・スポーツライターの小林信也氏にワースト記録について語ってもらった。 ◆意味のあるワースト記録と、ただのワースト記録の違いとは?
小林信也氏

小林信也氏

 すごいワースト記録といえば、権藤正利というピッチャーの28連敗(’55~’57年)。どうしてそんなに使ってもらえたんだろう、っていうのがまずありますよね。防御率は悪くないから、援護がなかったとか、いいとこまで抑えてたのに途中でスタミナが切れて打たれたとか、そういうことなんでしょう。ファンも権藤が出てくることに対してNOとは言わなかったわけですよね。  でも、これだけ勝てないと普通は自分のピッチングができなくなる。力んでフォームを崩したり、ケガしたりするものですけど、それがないのがすごい。で、ついに勝ったとき、ナインが胴上げしたという(笑)。  それとブライアントの三振。773試合で1186三振していて、三振率がほぼ4割。当てにいかずにとにかくホームランを狙う、三振を気にしないって、やっぱりピッチャーからしたら怖いですよ。  三振といえば、記録ではないけど長嶋さんのデビュー戦の4打数4三振。もはや伝説ですけど、長嶋さんは一球も当てにいかなかった。ピッチャーの金田(正一)さんは一球空振りさせるごとにスイングのすごさに驚いたという。王さんもデビュー当時は三振が多くて「王は王でも三振王」と言われたほど。でも、そこから努力してホームラン打者になった。そういう成長の過程でのワースト記録というのは意味がありますよね。  僕は今、中学硬式野球チームをやってるんですが、チームや選手を育てる過程で、我慢しなきゃいけないときがあるんです。いくら三振しようがエラーしようが、試合で使ってやらないと才能は開花しない。その結果がワースト記録になったりする。だから、意味のあるワーストか、ただのワーストかは区別して見たいですね。 【小林信也氏】 ’56年、新潟県生まれ。作家・スポーツライター、東京武蔵野シニア監督。高校時代は野球部の投手。『高校野球が危ない!』『古伝空手の発想』ほか著書多数 取材・文/石島律子 漆原直行 昌谷大介(A4studio) 新保信長 写真/産経新聞社 イラスト/カネシゲタカシ ― スポーツ[ワースト記録]大全【8】 ―
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