小林可夢偉インタビュー「人生一度はこういうチャレンジが必要!」
昨シーズンの最下位チームから2年ぶりにF1復帰した可夢偉が開幕遠征4戦を終え、ヨーロッパラウンドに挑む!
◆人生一度はこういうチャレンジが必要!
一昨年の日本GPで3位表彰台を獲得、ザウバーのチームランキングに大きく貢献した小林可夢偉(27歳)。しかし昨年はシート争いに敗れ、フェラーリのドライバーとして世界耐久選手権でGTカーを走らせた。
今季のストーブリーグでも可夢偉の名が噂に挙がることはなく、F1復帰は厳しいとされていたが、莫大な資金を持ち込むライバルたちを蹴散らし、土壇場でケータハムのシートを獲得。一般ファンから募ったKAMUI SUPPORT(約1億8500万円)をチームに持ち込み、今年は無給で走る。
――昨年までケータハムなんてまったく気にも留めてなかったんですが、どんなチームですか?
可夢偉:チームカラーは緑で、イギリスのスーパーセブンというクルマも造っていて、ボスはマレーシア人。F1参戦は2010年で、僕が2009年デビューだから、僕のほうがキャリアは上ですね。
――そのボス、トニー・フェルナンデスは日本ではケータハムのオーナーというよりエアアジアのCEOとして知られてます。
可夢偉:ドがつくほどストレートな人ですね。チームとの契約交渉のときも「オマエのことを採ると殺されるかもしれないけど、それでもオレはオマエを採った」と正直に言ってました。
――フェラーリからは「ケータハムに行ってもロクなことはないから、絶対に行くな」と言われたとか。それでも契約延長オファーを断り、昨年最下位のチームから無給で走る。ドライバーとしてF1の世界にいられるのは幸せですか?
可夢偉:いや、なかなかのチャレンジですよ。フェラーリにいればお金をもらって、それほど苦しい思いもしないで長いことレースできてたんですけどね。一度はこういう人生のチャンレンジも必要かなって。
――安定したポジションを捨て、弱小チームからF1再チャンレジするにあたっての覚悟は?
可夢偉:覚悟じゃない、基本コンセプトは「楽しむ」です。楽しいと思えば苦労や努力もしんどいとは感じないし、人一倍イヤなこともできる。楽しんでいるうちに他人ができへんこともやれるんじゃないかな。
――序盤4戦、楽しんでますか?
可夢偉:楽しんでますよ。下位チームになると、こんなにうまくいかないんだということを(笑)。
※参照:小林可夢偉の今季成績
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=640001
――それにしてもケータハムは遅すぎますね。
可夢偉:原因はエアロ(空力)にある。ダウンフォース(空気の流れで車体を地面に押さえ付ける力)が決定的に足りないから、タイヤにも厳しいし、F1でダウンフォースが足りなかったらどうしようもない。
――でも、現在テールエンド争いのマルシアより速い?
可夢偉:若干、毛が生えたくらい。
――開幕戦こそブレーキトラブルでリタイアしましたが、その後3戦連続完走。トラブルはひと段落?
可夢偉:安心はしきってないですけど、信頼性が落ち着いたのはよかった。逆に最近のF1は壊れるのが珍しいくらいなんで。
――これからはとにかくクルマを速くすることですね。
可夢偉:それだけですよ。チームにはさんざん言ってるんですが、新しいパーツが来ない限り、どうしようもない。
――アップデートの予定は?
可夢偉:スペインGP(5月11日決勝)には入る予定なんで。
――トヨタの風洞(ドイツ・ケルン)を借りて開発したパーツですね。
可夢偉:そう。ただ、ほかのチームも上げてくるんで、僕らだけパーンとはいかへんと思うけど、ハズさず、しっかり上げ続けることが勝負。
――今年の目標は?
可夢偉:チームを軌道に乗せて、開発をうまくやって、シーズン終わりには、ケータハムは強くなったねと言ってもらえること。
――チーム史上初のポイント獲得(10位以内)もミッションですね。
可夢偉:ポイント獲得はその過程の一環。今このチームに必要なのは、開発をしっかりやってクルマを進化させること。チャンスがあるときに、そのチャンスをしっかり掴みに行ける状態にしておくこと。
――ケータハムの救世主にはなり得ますか?
可夢偉:やるしかないですよ。アップデートがうまくいくことを願って。ファクトリー(イギリス)戻ったら、はっぱをかけますよ。
――最後に、この5月でアイルトン・セナ没後20年ですが。
可夢偉:すみません。まだ6、7歳でカート始めたか始めてないかくらいなんで、そのころセナなんて知らんかった。吉本新喜劇の池乃めだかなら知ってたんですけど。
写真/Caterham F1 Team
ハッシュタグ