標的は風俗嬢予備軍!情弱を狙った「詐欺の手口」
警察がいくらアナウンスしても、壊滅どころか増殖を見せる詐欺犯罪。犯罪者たちは標的を無差別に定め、荒稼ぎに邁進している。その最新手口を探った。
◆私書箱にバイク便……細分化する詐欺集団の分業化
前編での詐欺(https://nikkan-spa.jp/668495)による収益金は、別名義の銀行口座に振り込ませたり、あるいは“受け子”と呼ばれる集金部隊に直接取りに行かせるのがお決まりだった。だが’08年頃から詐欺グループの一員として悪事に手を染めたというA氏によると、最近目立つのは私設私書箱を介した決済なのだという。
「雑居ビルやワンルームマンションにある私設私書箱に現金を届けさせます。もちろん、私書箱業者もグル。彼らは現金が届くとすぐにバラして、一旦法人口座に入金するなどして洗ってくれます。押収された紙幣に被害者の指紋があったりすると証拠になるので、そのケアですね。私書箱だけでなく、バイク便まで経営しているグループもありますよ。彼らには上がった金額の10~30%が支払われます」
私書箱が入金先として使われるのは、社債や未株などの被害者のケースが特に多いという。いくら電話の相手が弁護士や警察を名乗っていても、お金の支払を促したり、まして入金先が私書箱ならば、詐欺を疑うべき。私書箱が弁護士名義の場合さえある。
手を替え品を替え、無差別に繰り広げられる詐欺犯罪。架空請求系で狙われやすいのは、5万円くらいなら仕方ないと泣き寝入りしやすい人だ。そうした人が訪れそうなサイトに悪質なスクリプトを仕込み、カモにする手口も流行っている。
◆標的は風俗嬢予備軍!情弱を狙ったIT詐欺
詐欺グループの生態に詳しいライターの鈴木大介氏が語る。
「例えば風俗の求人サイトで職を探そうとする女性は、相談相手も周りにいなくて、仕事をすれば5万くらいならすぐ払えてしまう。こうした属性を利用し、プロフィールの登録画面にワンクリックのスクリプトを仕込むグループがあります。架空請求といえばそれまでアダルトサイトが主でしたが、ここ数年ではアダルトサイト以外の場所でウイルスやスクリプトを食わせる手口が出てきています」
かくして判明しているだけでも年間500億円近い被害金額を生み出す詐欺ビジネス。儲かるがゆえに、参入する者も増え、凶悪化も進んでいる。前出のA氏が言う。
「人が増えたせいで、末端はサラリーマンと変わらない金額で使われてますね。詐欺グループを専門に襲う集団も出てきて、裏切りも頻繁にある。年を経るごとに荒れてきてます」
被害撲滅には程遠い現実。自分の身は自分で守るしかない。
【鈴木大介氏】
「犯罪をする側の論理」をテーマに取材活動を続けるルポライター。『振り込め犯罪結社』『フツーじゃない彼女。』(宝島社)など著書多数
取材・文/詐欺の実態調査委員会
― [無差別詐欺]の最新手口を暴露する!【2】 ―
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