箱根を4度走った西田隆維が箱根駅伝を予想「本命=駒澤、対抗=青学・明治・東洋、大穴=早稲田・東海」
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<取材・文・撮影/NANO編集部>
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第89回大会の日体大の優勝や、第90回大会の上位を予想した西田隆維さん。駒澤大時代、4度箱根路を走り、2000年に行われた第76回大会では、9区の区間記録も樹立、初優勝に大きく貢献。
現在は代表取締役、スポーツタレント、そして西田ランニングくらぶの代表として活躍中の西田さんに、正月の大注目イベント、第91回・箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競争)を予想してもらった。
まず今大会のポイントについてたずねると「ここ数年10000mで28分台を出す、タイムの速い選手が多くなってきています。タイムだけをみると大学長距離の底上げは出来ているかのように思いますが、トラック競技(記録会)などで集団走の中で結果を残しても、一人で走れる選手はあまり増えてはいないように思えます。とくに箱根駅伝は一人で走る時間が長い、ほとんど単独走の中、淡々とリズムを刻みながら走れる選手をどれだけ揃えられるかが各大学のキーポイントになってきます」と語った。
◆横綱相撲を見せつけられるか!? 本命は駒澤!
「今回の駒澤大学は高いレベルで安定して走れる選手が揃っているうえに、5区の山登りと6区の下りまで良い選手を配置できるので、まさに横綱相撲というレースが予想されますね。全日本大学駅伝でも1区~7区までの選手がそれぞれ区間1位又は2位と、かなり選手層が厚いことが証明されています。だれでもエース区間が走れるほど実力も拮抗しているのです。
ひとつ気になる点といえば、何か想定外なことが起きた時の“焦り”。それが選手間に連鎖したときは、横綱の駒澤大といえども体制が崩れることがあるはずです。勝負は時の運という言葉があるように、横綱といえども負ける時は負けます。中村匠吾、村山謙太、5区が予想される馬場翔大、6区が予想される西澤佳洋あたりが注目ですね」
◆横綱・駒沢に土をつけるのは! 対抗=青学・明治・東洋
「横綱に土をつけるとしたら、青山学院大学、明治大学、東洋大学ですね。まず青学は、好タイムを出している選手が揃ってきているうえに、チームとしての結果も残しはじめているので、駒澤にとっては怖い存在。当時絶対的エースとしてチームを引っ張っていた出岐雄大(現:中国電力)が抜けたあとでも、チーム状態は上昇し、いい位置をキープできているのは底力がある証拠です。もともと大学ブランドが強いところに、箱根駅伝の結果もついてきているので、良い選手が集まる好循環になっているんです。一色恭志、久保田和真、神野大地あたりが注目ですね。
明治は全日本大学駅伝の時、1区17位から最終2位まで順位をあげたことから、選手層が厚くレース運びが上手い、まとまっているチームという感じがあります。箱根の登録選手にエース級の二人が入っていないのが残念ですね。大六野秀敏に注目したいです。
昨年優勝の東洋は、設楽兄弟が抜けて戦力が下がった感じもありますが、昨年7区1位服部弾馬、2区3位勇馬の兄弟がレースを面白くしてくれそうです。特に勇馬の方は東京マラソンの参加を表明しており、その途中にある箱根駅伝にどのように仕上げてくるかも大切になってきます。30キロのレースでも日本学生新記録を出しており、箱根駅伝とマラソンを両立するという世界を視野にいれた取り組みに期待したいです。この世代が東京オリンピックのマラソンを引っ張ることになるはずです」
◆風向き次第で主役を喰う! 大穴=早稲田、東海、超大穴=創価
「流れ次第では面白い存在になりそうなのが、早稲田大学と東海大学ですね。今シーズン限りで早稲田からの勇退を表明している渡辺康之監督。私も選手時代から知っていますが、“もってる”方です。渡辺監督に有終の美をプレゼントするために、選手一人一人がいつも以上のパフォーマンスを出せば面白いレースになるはずです。渡辺康幸は何か不思議な力があります。これは個人的に箱根駅伝を面白くしてほしいという願望ですが……。
東海大については全日本大学駅伝で6位になり、伸び盛りの印象がありますね。両角速監督の体制になって3年目に突入し、徐々に全体が整ってきています。優勝は厳しいかもしれませんが、面白い風を吹かせてくれるはず。
そして今回、予選最後の枠10位で通過し、初出場を決めた創価大学は気になりますね。去年、一昨年くらいから力がついてきていて業界関係者の中では注目されていました。2013年インターハイ3000mSC王者の大山憲明、10000m29分台前半を持つ後沢広大、一人でもしっかりと走れるエースで主将の山口修平を1区~3区に置くことができれば、往路はTVに新しい顔が映り続けるかもしれないですね」
◆“山の神”ではなく、“山の職人”に注目!
「いつのころからか5区で活躍した選手を“山の神”と呼ぶようになりましたが、僕は“山の職人”だと思っています。5区はあの起伏と昇りのキツさから、なかなかスピードに変化がつけにくく、一歩一歩の走りが大事になってきます。まさに職人芸です。本当の意味で馬力のある選手が強いですね。
今回の箱根駅伝を見るときには、順位やタイムだけでなく、5区の“山の職人”探しをしてみるのも面白いかもですね。
また今からの世代は6年後の東京オリンピックに向けた世代。そんな彼らに速さだけではなく強さを見せてもらいたい。市民ランナーとして活躍する川内優輝選手のような、闘志ある走りを見せて欲しいですね」
圧倒的な強さを感じさせる横綱・駒澤に“あせり”を与えることができるチームはあるのか? 大金星をあげるチームは出てくるのか? レベルの高いレースが予想される今大会から目が離せません!
2015年1月2日午前8時スタート! 翌3日に大手町に一番最初にとび込んでくるのはどの大学か!?
【西田隆維氏プロフィール】
’77年生まれ。スポーツタレント、「西田ランニングくらぶ」代表/株式会社オーランド代表取締役社長。’01年エドモントン世界陸上選手権に日本代表として出場。マラソン9位。駒澤大学時代は4年間連続で箱根駅伝に出場。4年時の第76回は復路のエース区間9区にて当時の区間新記録を樹立。その後ヱスビー食品、JALグランドサービスで選手を続け、現在はタレント業もこなしながら、スポーツの発展と社会貢献を目的とした会社を設立し活躍。イベント主催など活動の場を広げている。37歳独身 ハッシュタグ