“高齢”大関・栃ノ心が天国と地獄の日々を振り返る「勝ち越しを決めた夜は涙が流れてきたよ」
今年初場所、平幕で14勝1敗の初優勝。翌場所、関脇に復帰した栃ノ心は、10勝、13勝の好成績を残して、夏場所後、ジョージア出身力士として初の大関に昇進した。ところが、新大関として迎えた名古屋場所で、足の親指を負傷し、途中休場。秋場所は、いきなりの「カド番」となったが、9勝を挙げて大関の座を守った。
天国と地獄を経験した’18年。今年最後の場所となる九州場所に懸ける気持ちは熱い。
――先の秋場所では、見事、カド番から脱出。足の親指のケガを抱えながらの土俵は苦しかったのではないでしょうか?
栃ノ心:そうね。まさか、新大関の場所で休場するとは思っていなかったし、親方をはじめ、大勢の人たちに大関昇進をお祝いしてもらったから、大関から落ちるのが、本当に怖かった……。力士になって13年。こんなに辛かったのは、初めてだったね。勝ち越しを決めた夜(14日目)は、涙が流れてきたよ。
――そういう意味では、本当にいろいろなことがあった1年でしたね。
栃ノ心:今年の初場所は、前頭三枚目だったんです。実は昨年の秋くらいから、(古傷の)ヒザの具合が思わしくなくて、九州場所もなんとか乗り切ったような感じだった。でも、初場所の1週間くらい前から、ヒザの動きがよくなってきて不安な気持ちから解放されて、波に乗っていけた。自分では「勝ち越せればいいな。できたら10勝できればいいな」くらいに思っていただけに、この優勝はすごく自信になりましたね。
――関脇で勝ち越しを続けていた御嶽海関を差し置いていきなり「大関候補ナンバーワン」に躍り出ました。
栃ノ心:御嶽海関とは一門が同じなので、よく一緒に稽古をしているんですが、彼は強い力士ですよ。ハッキリ言って、優勝するまでは「大関を目指す」なんてことは夢のまた夢、という感じでしたけど、力士である以上、上(大関)を目指さなければならないなと思ったんです。私はこのとき、30歳でしたから。力士として、30歳は若いほうではありません。チャンスは何度も巡ってくるわけじゃないから、気合が入りました。
横綱に一番近い男
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