サラリーマンのお昼の味方 意外な原価とは?
デフレで物がどんどん安くなるなか、気になるのは企業が儲かっているのかどうか。実際、多くの企業が業績悪化で苦しんでいるものの、激安商品をウリにした企業には業績好調なところも。そこで今回は激安衣料や飲食店の食べ&飲み放題、さらに神頼みグッズまで、さまざまな商品の原価を調べ、儲かるカラクリに迫った!
【食】
ファーストフードの原価は?
◆ハンバーガー
定価 100円
原価 44円
デフレの代表的存在のハンバーガー。しかし、実はとっても原価率が高い。
「私の試算ではパン2枚で12円、肉が18円、ピクルスやタマネギ、ケチャップなどが合計10円、包装紙が4円で原価は44円程度。一般的に飲食店の原価率は25~30%程度ですから、ハンバーガーは異常に原価率が高い。これに人件費や家賃、宣伝費を加えると、到底利益は出ないでしょう」(金子氏)
しかし、ここにもカラクリが。
「だからドリンクやポテトをセットで販売するんです。Mサイズのドリンクの原価はコップ代を含めても20円程度、Mサイズのポテトは63円程度です。これらをセットにして480円で販売すれば、原価は127円、原価率は約26%で利益が出る水準になるのです」(同)
最近は高級感を出したハンバーガーも販売しているチェーン店が多い。
「高級バーガーの場合、原価率は6~7割まで上がる商品もあり、セット販売をしても利益率は悪化します。ただ、利益金額は増えるので、店側としては安い商品を売るより儲かる。コーヒーを無料で提供するサービスも話題ですが、消費者から見れば『100円のコーヒーが無料』でも、原価は10円程度ですから、店側からすれば『10円を無料』にしているだけ。それで人を呼んで、ポテトなど、ほかのメニューを注文してもらえれば利益が出るビジネスモデルなんです」(坂口氏)
◆牛丼
定価 380円
原価 160円
ハンバーガーと並んでサラリーマンの強い味方である牛丼。原価は?
「私が調べたところ、ご飯が260gで46円、牛肉が80gで79円、タマネギが5円、調味料が14円で、お茶や割り箸、紅ショウガなどが16円で合計160円程度ですね」(金子氏)
一方の坂口氏は「ご飯が40円、牛肉が80円、タマネギが5・4円、タレが30円、それにお茶や割り箸、紅ショウガ、紙ナプキンなどの費用20円を加えて、約175・4円と推察しています」とのこと。
「牛丼はハンバーガーと違い、セット販売しづらい単品メニューなので、原価率が37・8%と低めですが、結局は卵などのサイドメニューをいかに食べてもらえるかがカギ。卵なんて1コ10円程度で買えるものが50円ですから、すごく儲かりますよね」(金子氏)
ついつい頼んでしまうサイドメニューが牛丼店を下支えしているのだ。
◆立ち食いそば
定価 250円
原価 40円
ラーメンやそばなど、数ある麺類の中で、原価が高くなりがちなのがラーメン。スープを取るために使う食材が高級化し、チャーシュー1枚の原価は10円なのに、スープ1人前の原価が150円以上という店もあるという。昨年開店した某人気ラーメン店の店主によれば「900円で出しているラーメンの1杯の原価は380円」とか。
「それに加えて長時間スープを煮込むガス代がかかるので、かなりギリギリの価格設定。でも他店との競争があるので、価格は上げられない……」
一方、うどんやそばは、麺20円、つゆ20円程度と格安。国産小麦の麺を使ったり、ダシに高級昆布などを使えば高くなることもあるが、一般的にはとても利益率が高い商品のようだ。
●原価を知り尽くす達人●
【坂口孝則氏】
調達業務研究家 メーカーの調達部門を経て独立。現在、調達購売マネジメント取締役。近著に『激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ』(徳間書店)
【金子哲雄氏】
流通ジャーナリスト兼プライスアナリスト。モットーは「清く貧しくゴージャスに」。など著書多数
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