ダルの女房も戦力外! 「駆け込みトレード」最終日
NANO編集部>
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松井秀喜の今季中の日本球界への復帰の可能性がなくなった昨日。
そして今日、現地アメリカでも松井獲得に名乗りを上げる球団はなく、レイズの40人枠からリリースされた松井はこれで、今季再びプレイする可能性は、ほぼ、消滅してしまった。
そう。7月31日は、日米それぞれの球界において「シーズン最後の駆け込みトレード」最終日なのだ。
メジャーにおいては特に、31日までにトレードが成立すると、該当選手は10月からはじまるプレイオフに出場できるため、例年、プレイオフ出場の可能性が低い下位チームから、「今年こそは!」と意気込むプレイオフ圏内の上位チームへ、主力クラスの移籍が相次ぐ。
日本では、誰もがあっと驚いたイチロー選手のヤンキース移籍もしかり。メジャーに精通した関係者の目には、ア・リーグ東地区首位のヤンキースが、ア・リーグ西地区で最下位のマリナーズから、俊足・堅守の外野手を「補強した」と捉えられてしまうのだ。
入団から引退までをひとつの球団で過ごすことが大半の日本では、在籍期間の長さが「球団への忠誠心の表れ」などと言われているが、アメリカでは、過去にMVPやサイヤング賞を獲得した選手ですら「締め切り間際のトレード移籍」の対象となってしまう。
事実、わずかここ10日間のトレード動向を振り返るだけでも、MVP選手のイチローのみならず、’09年サイヤング賞のザック・グリンキー投手、’08年新人王のジォバンニ・ソト捕手ら、多くの大物選手が、プレイオフを見据えた上位球団へ「駆け込み移籍」していった。
昨今では、大物トレードが発表されるや否や、ソーシャルメディアを駆使するMLBの広報が、ここぞとばかり量産体制に入った新球団のグッズ画像をツイートしたり(ちなみにイチロー31番のTシャツ製造のツイートはあっという間に数百回もリツイートされた)、たくましいビジネスセンスを見せつけているが、一方で、たまらないのは、あおりを喰らって「押し出される選手」である。
ダルビッシュ投手のメジャー移籍から、たびたび日本メディアにも登場し、明るいキャラクターでチームメイトの誰からも愛されていた「ダルの正捕手」ことヨルビット・トリアルバ捕手は、今回の駆け込みトレードで、レンジャースから押し出された選手のひとりだ。
今回のトレードは、テキサスの灼熱の炎天下でこれから最も激しいシーズン佳境を迎えるに当たり、正捕手マイク・ナポリのバックアップ捕手の更なる補強をにらんだレンジャースが、借金16で下位に低迷するシカゴ・カブスからソト捕手を獲得したトランザクションである。
そしてメジャー選手をひとり獲得するために、「ところてん方式」で、誰かひとりが枠外に押し出されるのが「メジャーの流儀」なのである。
「彼は素晴らしいチームメイトであり、クラブハウスの仲間だったから、いなくなるのはさみしいよ……」とは、テキサスの主砲、ジョシュ・ハミルトン。
さて、このトレード。吉と出るか凶と出るか。
日本時間の明日に予定されている、ダルビッシュ先発試合では、主戦のマイク・ナポリがマスクをかぶる予定と発表された。ナポリとコンビを組んだ試合の、ダルビッシュの防御率が良くないのが気がかりだが……。
<取材・文/ハッシュタグ