不法滞在者を手助けする【在日外国人向けメディア】
―[2013年上半期[裏ベストテン]]―
各分野のエキスパートに極私的視点で選んでもらったSPA!オリジナルランキングをご紹介。今回は2013年上半期の「在日外国人向けメディア(裏)ランキング」だ。
法務省によると、’11年末の時点で、日本における外国人登録者数は207万人。東京・新宿区を見ると、1割が外国人というデータもある。来日目的はさまざまだが、「稼げるだけ稼ぐ」商魂逞しさがあるのは疑う余地なしだ。
そんな彼らの情報源となるのは、エスニック・メディアと呼ばれる在日外国人向けの新聞・雑誌・ウェブサイトだ。表紙だけを見れば、なんの変哲もない自国語メディアのように見える。しかし、紙面をめくると「風俗嬢募集」の求人広告は序の口。国によっては悪びれる様子もなく、「不法滞在マニュアル」を数十件にわたって掲載する新聞もあった。
なかでも怪しさナンバーワンは、在日中国人向けのタブロイド紙。
「不法滞在者的在留特別許可的申請」―訳すと、「不法滞在者に代わり、在留特別許可を申請する」となる。法務事務所がこんな広告を掲載しているかと思えば、結婚相談所も負けていない。
「46歳、日籍、離有、独居年収460万(46歳の日本国籍のバツイチ男性が配偶者募集。年収は460万円)」。事情通に聞くと、このテの男性の多くは日本国籍を売って小銭を稼ぎたいホームレスだという。形ばかりの結婚をし、日本国籍を取得したい中国人女性は引きも切らないのである。また前出の事情通によると、ヤミ医者の広告が掲載されたこともあったという。
だが、こうした業者には日本人も非常に多いため始末が悪い。
中国以外では在日タイ人、ネパール人、インドネシア人向けの新聞を入手できたが、とりたてて怪しい情報は見当たらなかった。紙面には自国の政治や経済ニュースが並び、携帯電話や航空券の販売など、生活密着型の情報の掲載にとどまっていた。
だが、在日外国人向けメディアに詳しいジャーナリストは話す。
「中国人は紙を発明した歴史があるだけに、いまだ紙媒体を重視する傾向がありますが、他の在日外国人はクローズドなネットコミュニティで動いています」
例えばフィリピン人は「求人広告ではなく現地ブローカーを通じて来て、日本の暴力団系会社に囲われるのがほとんど」(事情通)だという。だが在日フィリピン人向けサイトの掲示板も存在し、ある程度の情報が書き込まれている。そのなかで「フィリピン国内で調査・購入・発送の簡単なお仕事があります☆時間と給料は1日3時間で100ペソ/日と、楽で好条件」という案件を発見した。掲載主は東南アジアに特化した某転職サイト。日本円に換算すると220円程度のこの求人に、在日フィリピン人から「日・英・タガログ語を駆使できる人をそんな低い賃金で働かせるのはいかがなものか。日本と同水準の賃金にすべき」という趣旨のツッコミが。この転職サイトに掲載された求人一覧を見ると、確かに異様なまでの低賃金や「応相談」とぼかした案件がほとんどで、ブラックすぎるにもほどがあるだろう。
韓国人ニューカマー向けメディアも凄まじい。コリアタウンで無料配布しているミニコミ誌には2年前まで日本で行方不明となった韓国人女性の顔写真と個人情報がズラリと並んだページがあった。事情通は「これは韓国系暴力団の手引きで来日した後に失踪した風俗嬢を捜し出すため、暴力団が掲載していたもの。現在は多くがウェブに移行し、廃刊しました。それに行方不明風俗嬢のページなんて、日本の韓流ファンにバレたら怯えさせてしまうから、掲載をいったんやめたのでは」と言う。
在日外国人のクローズドなコミュニティを支えるメディアたち。今後もどんな怪しい情報が躍るのだろうか……?
【1位】不法滞在者を手助けする広告が多数!
特に8万部発行の最大手「聞声報」は在日中国人必携の情報源らしい
【2位】異様な高収入を謳う風俗嬢募集広告!
特に中国人留学生女子に人気の「玩韓東京」は風俗嬢募集広告に強みが
【3位】失踪風俗嬢情報も!韓国人向け無料雑誌
少し前まで失踪風俗嬢の個人情報を一挙掲載。最近はなりを潜めている
【4位】フィリピン人も激怒するブラック求人
フィリピンはじめ東南アジア人向け求人サイトは不透明な雇用条件が多い
【5位】中国同様、韓国系メディアにも「密入国・不法滞在者の結婚ビザサポート」の広告。日本人業者も多数いる
【6位】中国人向け新聞「東方時報」は靖国問題で過激な発言をするなど、在日中国人の愛国心を煽りまくる
【7位】韓国人向け無料雑誌はほぼ100%通販広告で「ニッセン」状態。その上、ほとんどがぼったくり価格だ
【8位】取材力に定評のある「華人通報」。日中関係に言及するも報道の偏りは否めず。怪しい広告をラインナップ
【9位】韓国人向け無料雑誌では時折、「力道山の最後の妻インタビュー」などサブカル的なレア記事が拝める場合も
【10位】芸能ゴシップ記事だらけで存在意義が地味にナゾなフィリピン系紙媒体。ネット人口が少ないのだろうか
取材・文/野中ツトム・中村未来・青柳直弥(清談社) 小野田衛 小山田裕哉 林バウツキ泰人 古澤誠一郎 紺谷宏之 卯月雅之 アンヨナ 長谷川大祐 取材/加藤カジカ 撮影/渡辺秀之
― 2013年上半期[裏ベストテン]【7】 ―
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