[発展途上国]投資はETFか投資信託か?
2013年7月、東京証券取引所に新しいETF(上場投資信託)が上場した。投資先としてはまだ一般化していない発展途上国の株に投資する「フロンティア株ETF」だ。 「フロンティア株」はどれほどの成長が期待できるのか? 専門家に聞いてみた。
⇒【前回】「[発展途上国]に投資する方法」https://nikkan-spa.jp/485792
◆高値掴みを防げれば失敗の可能性は小さくなる
大化けの期待が高いとなれば見過ごす手はない。暴落のリスクを抑えて投資する方法はないだろうか。資産運用に詳しいファイナンシャルプランナーの神戸孝氏はこうアドバイスする。
「高値掴みを避けることで失敗の可能性は小さくなります。そのためには一度に投資するのではなく、分けて買うのがおすすめ。フロンティア株ETFなら一口3000円程度で買えるので、3~6か月間隔を空けて何回かに分けて購入するのがいいでしょう」
ETFは上場しているため株と同じように価格が変動し、株式市場で時価で売買できる。指数に連動するよう作られているため信託報酬(保有している間自動的に差し引かれる手数料)が安く、低コストで投資できるのが特徴だが、ETF以外でもフロンティア株への投資は可能だ。
「フロンティア株はETFだけでなく、投資信託でも投資できる商品があります。投資対象が異なるうえ、ETFと投資信託では性質が違うので、まずは両者の違いを理解してから選びましょう」
日本でフロンティア株を扱える投資信託は下記に記してある3つだ。投資信託は一日1度しか値がつかないので思い通りの価格で売買するのは難しいうえ、ファンドマネージャーが裁量で投資するタイプの商品は信託報酬が高くなる傾向があるが、長期の定額投資には向いているという。
「一口あたりの時価で購入するETFと異なり、投資信託は毎月1万円といった定額積み立てがしやすい商品です。定額積み立ては価格が高いときは控えて、安いときはたっぷり仕込める仕組みなので、フロンティア株のように値動きが激しい投資対象は、先進国債券など値動きが小さめの投資対象よりも利益を出しやすいといえます」
ギャンブル派はETF、堅実派なら投資信託というフロンティア株。今のうちに仕込んでおいて、じっくり育つのを待つのが吉だ。
【神戸 孝氏】
ファイナンシャルプランナー。FPアソシエイツ&コンサルティング代表取締役。三菱銀行、日興証券を経て独立。公募投資信託の運用アドバイスも行う
◆フロンティア株に投資できる主な金融商品
【商品名】iシェアーズフロンティア株ETF (略称:iSフロンティア株)
【特徴】フロンティア市場の主要100銘柄で構成する指数「MSCI フロンティア・マーケット100インデックス」への連動を目指しているETF。国別で見るとクウェートが約26%、業種では銀行が約56%を占める
【運用管理費用(信託報酬)】0.79%
【主な投資対象国】クウェート、カタール、UAE、ナイジェリア、パキスタン、ケニア、オマーン、アルゼンチンなど
【商品名】中東・北アフリカ株式ファンド(愛称:アラビアン・ブルー)
【特徴】サウジアラビア、カタール、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)など中東・北アフリカ地域の株式に実質的に投資。国別ではサウジアラビアが約4割を占め、業種は銀行が約4割、不動産開発が約1割を占める
【運用管理費用(信託報酬)】2.4525%
【主な投資対象国】サウジアラビア、カタール、クウェート、UAE、エジプト、オマーン、オランダなど
【商品名】アムンディ・アラブ株式ファンド
【特徴】アラブ地域を中心とした中東・北アフリカ諸国で事業を展開する企業に実質的に投資している。6割近くをサウジアラビアが占め、業種では銀行、通信、サービスなどを多く組み入れている
【運用管理費用(信託報酬)】2.197%
【主な投資対象国】サウジアラビア、カタール、ドバイ、アブダビ、クウェート、エジプト、モロッコ、チュニジアなど
【商品名】中東・北アフリカ/アジア株式ファンド(愛称:魔法のランプ)
【特徴】中東・北アフリカ地域と、日本を除くアジア地域の株式に半分ずつ投資するため、中国や韓国といったフロンティアではない国々も対象になる。フロンティアではクウェート、エジプトなどの比率が高い
【運用管理費用(信託報酬)】1.6125~1.7275%
【主な投資対象国】クウェート、エジプト、UAE、カタール、バーレーン、中国、韓国、台湾、香港、インドなど
※投資対象や割合は時期により変動する、投資信託の運用管理費用は実質的な負担額
取材・文/森田悦子 写真/時事通信社
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