「訳あり」の大型公募増資が増えている?

アベノミクス相場で回復基調にある東京市場では減少の一途をたどってきた公募増資も回復基調に。1~8月の8か月間ですでに昨年1年間の増資額を上回っているという。だが、そこにはカラクリが……。闇株新聞がその裏側を明らかにする。 ◆’09年以降、減り続けた公募増資が増加に転じた本当の理由【後編】 (有名ブロガー「闇株新聞」氏) ⇒【前編】『「公募増資」をチェックすれば日本経済がわかる』はコチラ  また公募増資の内訳を見ても、サントリー食品インターナショナル(新規公開・調達額2755億円)、大和ハウス(1375億円)、電通(1195億円)、オリンパス(1126億円)などの大型増資は目につきますが、まだまだ裾野が広がっているようには思えません。それに加えて9月18日にシャープ(1500億円の予定)が発表され、さらに三菱自動車(2000億円)、ジャパンディスプレイ(新規公開・2000億円)などの大型増資が囁かれています。  自己資本の増強が急務のシャープはともかくとして、三菱自動車の公募増資は三菱UFJフィナンシャル・グループなどが保有する優先株の償還に充当されるようで、ジャパンディスプレイの新規公開に際して調達する2000億円も、70%を出資する産業革新機構の投資資金回収に充当されるようです。  つまり今年に入ってからのエクイティファイナンスは、一部の新規上場を含む大型公募増資と、一部の「訳あり」の大型公募増資で数字が増加しているだけで、自由なエクイティファイナンスが回復しているわけではありません。  繰り返しですが、それでは日本経済が本格的に回復しているとは言えません。新株発行に伴う株価下落を心配するのではなく、株式市場の自然な価格形成に任せればよいのです。大型増資をして株価が下落しても、自己資本を充実させて業績を拡大し、株主に報いればよいのです。それは当局ではなく経営者が判断することなのです。 公募増資【今週の数字】 ’13年1~8月の公募増資総額 6938億円 8か月で昨年1年間の公募増資額を50%近くも上回る勢いだが、さらにシャープや三菱自動車など大型増資が控えており、今年は1兆円の大台を回復するのは確実 【「闇株新聞」氏】 ’10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に’11年10月の「オリンパス事件」と’12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事をアップして話題に。’12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。今年4月には『闇株新聞 the book』を上梓
闇株新聞 the book

「異次元」の金融緩和で為替・株・日本国債はどうなるのか?

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