マフィアも乱入! 台湾・学生デモはなぜ起きたのか?【後編】
台湾の国会議場が学生に占拠されるという前代未聞の異常事態が発生している。3月18日の占拠からすでに20日以上がたつ、学生らはバリケードを築き、水、食糧など外部からの支援を受けながら数百人態勢で陣取っている。連日、日本のテレビでも報道されているが、現地の混乱はテレビで報道されているものよりも激しいものである。
⇒【前編】https://nikkan-spa.jp/618234
◆理路整然とした学生達のデモに賞賛の声も……
台湾では2013年8月、軍隊内リンチ殺人事件の真相を求める白シャツ隊と呼ばれる学生の抗議運動が出現し、25万人もの大規模な運動に発展した。こうした運動経験があるためか、今回の抗議運動の手際の良さが際立っている。フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどのソーシャルメディアを駆使して運動内容を行き渡らせ、外部と連携を取るだけではなく、媒体組と呼ばれるメディア担当チームには日本語など各国語の翻訳専門チームが控え、各国からの取材に対応している。また、在台湾外国人たちからも、理路整然としたデモに賞賛の声が上がっている。
「30日の大規模デモでも、誘導係やゴミ拾い係といったスタッフが配置され、秩序は守られているました。テープを地面に貼って医療関係者専用通路が設置されていたのですが、テープを無視して通路を占拠する人もいません。また、アジる人や大声で叫ぶ人もなく、デモ自体非常に静かで礼儀正しく、非暴力が貫かれていたことには驚きました。そして学生たちは非常に賢くもある。占拠している立法院議場の内部を24時間ライブで外部に中継しているのですが、そうすることで当局が下手に手出しできないよう牽制し、自分たちの身を保護しています」(片倉氏)
学生リーダーの台湾大学大学院生の林飛帆さん(25歳)と清華大学大学院生の陳為廷さん(23歳)は、爽やかな好青年ぶりと理知的で堂々とした発言で一躍ヒーローとなりファンも出現。学生を支援する教授団体も発足し、弁護士や看護師も議場に駆けつけて支援しているほか、日台ハーフの俳優で台湾で絶大な人気を誇る金城武氏や映画監督の魏徳聖氏ら著名人も学生たちに応援のエールを送っている。
「帆神」と呼ばれる学生リーダーの林飛帆さんはSPA!の取材に対しこのように答えてくれた。
「サービス貿易協定は台湾や両岸関係だけではなく、東アジア全体の国際政治情勢にも影響を与える問題で、台湾の未来は台湾だけのことではありません。地政学上、台湾の位置づけが変更すれば、東アジア情勢、さらには世界情勢に影響を与える可能性がある。だから国際社会は台湾が今直面している危機にもっと注意を向けてほしい」
親日家も多く、震災の際は多くの義援金や援助を行ってくれた台湾の窮状を、日本人は見て見ぬ振りをしていいわけがない。台湾情勢からしばらくは目が離せそうにない。
<取材・文/山田智美>
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